瀧本が柔道復帰！プロ格闘家から指導者で出戻り１号…シドニー金　ＰＲＩＤＥで活躍

２０００年９月１９日、シドニー五輪の柔道男子８１キロ級で優勝した瀧本誠

　シドニー五輪柔道男子８１キロ級金メダリストで、総合格闘家に転向していた瀧本誠（３５）が、指導者として柔道界に復帰することが５日、明らかになった。６日に都内の全日本柔道連盟（全柔連）を訪れ指導者登録する。瀧本は０４年１２月にプロ格闘家への転向を宣言し、これまで１１試合戦ってきたが、柔道普及の道を選んだ。同じく柔道金メダリストの吉田秀彦（４１）も柔道界へ復帰するが、登録上、指導者としては瀧本が復帰第１号。これまでに例のない道を歩む。

　たぐいまれな柔道センスを持つ瀧本が、６年ぶりに畳に戻ってくる。２００９年５月に総合格闘技「戦極～第八陣～」で一本勝ちして以来、プロのリングに立っていない瀧本。このまま格闘家を続けるのか、柔道界に恩返しするか。悩んだ末に選んだ道は、柔の道だった。

　実は今年４月から知人に打診され、自宅のある世田谷区のスポーツ振興財団が主催する世田谷ジュニアアカデミーで週１回、子供たちにボランティアで柔道を教えてきた。その中で「もう一度、本気で畳に戻りたい」という気持ちが強くなり、復帰時期を模索してきた。全柔連はプロ格闘家に転向し引退した場合、再登録に選手は３年、指導者は１年経過しないとできない規定がある。瀧本はすでに１年以上試合に出場していないため、復帰に支障はない。

　瀧本は２０００年シドニー五輪で、すい星のごとく頭角を現し金メダルを獲得。当時としては珍しく髪を茶髪に染め、歯に衣（きぬ）着せぬ言葉を発するスタイルから「柔道界の異端児」とも称された。一方で、格闘家としてデビューした０４年大みそかの『ＰＲＩＤＥ　男祭り　２００４』では、相撲界から転向の戦闘竜に判定勝利。試合後に「試合するまで総合なめてました。すみません」とファンに謝罪するなど殊勝な態度も見せた。

　柔道、格闘家の先輩でもある吉田も今年４月、格闘家を引退し柔道界への復帰を宣言したが、１年経過していないため正式復帰は来年４月末になる。９日に開幕する世界柔道ではフジテレビのＣＳで解説者としてもデビューすることが決まっている。他競技でも例を見ない異例の復帰を遂げる瀧本が、柔道界を再び席巻する。

　◆瀧本　誠（たきもと・まこと）１９７４年１２月８日、茨城・坂東市（旧岩井市）生まれ。３５歳。６歳から柔道を始め、中学から柔道私塾の講堂学舎入門。世田谷学園―日大と進み、日本中央競馬会（ＪＲＡ）所属の２０００年シドニー五輪男子８１キロ級で金メダルを獲得。０２年ＪＲＡを退職しフランスに留学。翌年、帰国し０４年アテネ五輪を狙うも出場ならず、同年１２月に総合格闘家転向を宣言。大みそかの「ＰＲＩＤＥ　男祭り　２００４」で格闘家デビュー。以来１１戦６勝５敗。

　◆他競技に転身後復帰した五輪メダリスト　スピードスケートの９２年アルベールビル五輪女子１５００メートル銅メダリストの橋本聖子（４５）は、同年のバルセロナ五輪で自転車競技に出場。その後もスケートで９４年リレハンメル五輪代表になるなど、夏冬計７回の五輪出場。柔道界では、バルセロナ五輪男子７８キロ級金メダリストの吉田秀彦（４１）が、０２年の引退後に総合格闘家に転向。今年４月に総合格闘家を引退し、来年４月に実業団チーム「パーク２４」の柔道部監督が決まっている。