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アフガンで不明の常岡さん、武装勢力から5カ月ぶり保護

2010年9月6日0時48分

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写真:常岡浩介さん常岡浩介さん

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 アフガニスタン北部で3月末から行方不明になり、反政府武装勢力タリバーンの地方組織に拘束されたとみられていたフリージャーナリスト、常岡浩介(つねおか・こうすけ)さん(41)が4日、現地の日本大使館に保護された。日本外務省が5日夜、発表した。常岡さんにけがはなく、同日、帰国に向け、アフガンを空路で出国した。

 政府関係者によると、4日にアフガン政府から日本大使館に「常岡さんが間もなく武装勢力から解放される」と連絡があり、急展開した。

 現地の日本大使館によると、常岡さんはアフガン北部でアフガン当局に保護され、4日夜、首都カブールにある大使館に到着。疲れた様子だったが、けがなどはなかった。武装勢力に拘束されている間、頻繁に移動させられていたと語ったという。大使館は、日本政府は犯人側へ身代金などは支払っていないとしている。

 また、カブールを訪問中だった鈴木宗男衆院外務委員長は5日午後に大使館で常岡さんと面会した。鈴木氏のブログによると、常岡さんは拘束を受けていた際、食事も提供され、暴力は振るわれなかったと話した。兵士は好意的だったとも語り、誘拐したのは、タリバーンではなく、別の武装勢力ヒズベ・イスラミ(イスラム党)だと説明したという。

 常岡さんが解放直前の3日に書いたと見られるインターネット上の簡易投稿サイト「ツイッター」への書き込みでは、拘束している司令官の名が書かれていたが、この司令官はタリバーン、ヒズベ・イスラミ双方に関係しているとされる。

 一方、アフガン北部クンドゥズ州の知事は5日、常岡さんはタジキスタンとの国境に近い同州北東部のアルチ地区で解放されたと明らかにした。知事によると、犯行グループはアフガン政府や日本大使館に身代金を要求していたが、実際に支払われたかどうかは不明だという。

 アフガンでは今週、ラマダン(断食月)が明けるが、拘束中の様子を知るタリバーンの北部地域の幹部の1人は5日、朝日新聞に対し、「日本人ジャーナリストはしっかりと断食をした。そうしたことがラマダン明けの祝祭前の解放につながった」と話し、常岡さんがイスラム教徒であることが共感を得たとした。一方で、「(解放に関し)取引はあった」と語り、身代金など当局側と何らかの取引があったことを示唆した。

 イスラム圏での紛争取材を専門とする常岡さんは3月30日、タリバーン関係者にインタビューするため、アフガン人ガイドとともにクンドゥズ州に入り、消息を絶った。ガイドの友人が「常岡さんは誘拐された」と4月1日に常岡さんの日本の関係者らに連絡。外務省やアフガン当局が所在の確認を進めていた。

 その後、タリバーンの北部地域の報道担当者が「日本人ジャーナリストを拘束している」と本紙を含む複数メディアに語ったことなどから、常岡さんはタリバーンの地方組織に誘拐・拘束された可能性が強まった。アフガン当局が断続的に武装勢力側と解放交渉を行ってきたとみられる。

 常岡さんが行方不明になったアフガン北部は近年、タリバーンの勢力が強まっており、政府軍や北大西洋条約機構(NATO)主導の国際治安支援部隊との戦闘も激化、治安は不安定化している。(山尾有紀恵、イスラマバード=五十嵐誠)

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