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きょうのコラム「時鐘」 2010年9月6日
石川と福井県が広域観光をめざして協力していこうとの記事を読んで「県境」を考えてみた。風土や習慣を区切る合理的な線引きである半面、厄介な存在である
山の多い日本は稜線に県境が走るケースが多い。北陸三県もほとんど旧国名の線引きが生きている。交通網が発達した今も古代の境界が健在なのは不思議なことだ。地域意識が固く、隣県と容易に溶け合わないことを示してもいる 稜線を県境にするといっても、富山と長野県の県境は山岳地帯でいまだ明確でない。海上の県境も複雑だ。香川県と岡山県の間に浮かぶ7つの島をつないだ広域圈観光を利用した芸術祭を見るために、先日、瀬戸内海を回ってそれを知った 香川側から島に渡り、帰りは岡山側に行くつもりで高松のホテルで船便を聞いたところ「岡山は敵みたいなものだから、よく知らない」と冷たくあしらわれた。芸術祭は香川が主舞台だから、客が岡山に流れては面白くないのだった 美しい海の中に強烈な県境が走っていたのである。広域観光をうたい、県境は越えても、損得の壁を超えるのは難しい。北陸も参考にしたい。 |