容疑の元組員、和歌山方面へ逃走か　大野コンビニ強殺、車押収 （2010年9月1日午前7時00分）

　大野市のコンビニで８月２７日、店長の男性が殺害され、売上金が奪われた強盗殺人事件で、福井県警の合同捜査本部が逮捕状を取った男は中国地方を広範囲に移動した後、和歌山方面への逃走を図っている可能性のあることが３１日、捜査関係者の話で分かった。男は高松市に住所がある元暴力団員だった。合同捜査本部は同日までに、犯行に使われたとみられる車両を押収した。

　捜査本部が行方を追っているのは、高松市の河合英二容疑者（４５）。逮捕状の容疑は、２７日午前２時５０分ごろ、大野市牛ケ原のコンビニ「サークルＫ牛ケ原店」で、店長山本嘉裕さん（４６）を殺害し、売上金約３５万円を奪った疑い。

　捜査本部は３０日までに、河合容疑者が乗っていたとみられる白色の日産「グロリア」を鳥取市にある湖山池付近で発見。車はガソリンがなくなり、車体を池に突っ込んだ状態で乗り捨ててあった。鍵は付いていた。３１日までに福井署に移送し、同日午後から車内を検証。殺された山本さんの血痕など容疑を裏付ける遺留品がないかを調べた。

　犯行後、車は福井市の福井インターチェンジ付近や京都府内の自動車ナンバー自動読み取り装置（Ｎシステム）で通行が確認されている。高速道路や有料道路を利用した形跡は乏しく、主に一般道を使って逃走していた可能性が高いという。

　鳥取市に到着する前には岡山県内のパチンコ店で河合容疑者に似たような男の目撃情報があった。鳥取市で車を乗り捨てた後は、タクシーやＪＲを利用して米子駅まで移動。さらに西の島根県・出雲市駅で、同容疑者とみられる人物が特急に乗車した記録が残されていた。

　３１日早朝までに河合容疑者は特急で岡山駅に行き、和歌山行きの切符を購入したという。タクシーの運転手には「フェリーで四国に行きたい」と話していたらしい。

　河合容疑者は今年春ごろまで高松市に拠点のある暴力団の構成員だった。本籍は愛媛県で広範囲に移動していることから、中国・四国地方の地理に明るいとみられ、早期の身柄確保は困難になっている。県警は捜査員を中国、四国、近畿地方に派遣して行方を追っている。