日経平均が一時9000円割れ:識者はこうみる

2010年 08月 24日 11:02 JST
 

 ただ、底割れしたことで政府や日銀からのアクションが出る可能性も強まった。財源不足や効果が薄いといった批判に対しても大義名分を立てやすくなった。株価が下落したところは危険でもあるが、買いのチャンスでもある。

 ●政府・日銀から強いメッセージが必要

 <日興コーディアル証券 国際市場分析部ストラテジスト 橘田憲和氏>

 株価はこれまで政策への期待感で支えられていたが、菅直人首相と白川方明日銀総裁の電話会談で具体的な円高対応策の話が出ず、失望売りが優勢になっている。米欧が自国通貨安による輸出拡大を狙い対応策を検討している中で、日本は政策的に出遅れている印象が強い。政府、日銀から円高対応への強いメッセージが必要だろう。

 日本株は指標面から割安との指摘もあるが、短期的な下値不安がある中で積極的な買いは入りにくい。まとまった投げ売りが出ず、静かに値を消す相場は長期化しやすい性質がある。目先は9000円の攻防だが、何も対策が出なければ、日経平均はテクニカル的な節目がある8600―8800円の水準に切り下げる可能性がある。

 ●円高阻止で待たれる日銀の対応

 <大和証券キャピタル・マーケッツ 木野内栄治氏>

 日経平均の9000円は昨年7月以降、下値をサポートし続けてきた重要なチャート上のポイントであるため、これを割り込んだことは深刻と言わざるを得ない。需給面ではフローが落ちている中、戻りを買った向きの投げが活発化しており、厳しい状況だ。

 テクニカル面で救いと言えるのはフシ目を突破した後、下げ渋ったこと。通常は、チャートが煮詰まってから放れる動きになった場合、その方向に加速するものの、今回はそうなっていない。その分、持ち直す可能性も残っている。

 大台を割った後に下げが加速しない理由として、外為市場でドル/円が85円前後で円高が一服している点が考えられよう。ここで円高が加速した場合、おそらく株価も下げに勢いがつくと想定される。そうなってからでは遅く、株式マーケットが円高を嫌っている以上、円高阻止に向けて日銀の対応が待たれるところだ。

 
 
Photo
写真

最近のドル安/円高局面において、意外な伏兵がドルをサポートしているとの声がささやかれている。その名は「ミセス・ワタナベ」。  記事の全文