2010年7月20日 21時4分 更新:7月20日 21時10分
シャープは20日、年内に国内で電子書籍事業に本格参入すると発表した。新たな専用端末を発売する一方、関連企業と提携して電子書籍の製作支援、配信サービスも始める。端末は新開発の電子書籍規格「次世代XMDF」に沿って設計。従来規格による縦書きやルビなど日本語特有の表現に対応できる強みを生かしつつ新機能を加え、先行する米アップルの新型携帯端末「iPad(アイパッド)」などに対抗する。都内で会見した大畠昌巳執行役員は「通信販売など多様なサービスも展開し、新たな電子書籍の世界を創造したい」と述べた。
端末はカラー液晶画面を指で触れて操作するタッチパネル方式。この日の会見では5.5型と10.8型の2種類の試作機を披露した。価格を含めた仕様の詳細は未定。米国でも通信大手ベライゾン・ワイヤレスと組んで新端末を発売する方向で協議を進めているという。
配信するコンテンツは毎日新聞社、日本経済新聞社、ダイヤモンド社、東洋経済新報社などが提供する予定。コンテンツの電子書籍化を支援する事業を展開する大日本印刷や凸版印刷も、シャープの配信サービスなどに協力する。
シャープが携帯情報端末「ザウルス」向けに01年に電子書籍事業を始めた際に開発した電子書籍規格「XMDF」は国際標準となり、現在では国内の携帯電話を中心に7000万台以上の端末が対応している。著作権保護に対応し、容易に挿絵画像などが組み込めるのが特徴だ。新開発の次世代規格では動画や音声を盛り込める機能を加え、「コンテンツ作成の可能性がこれまでより広がる」として、幅広い端末への採用を呼び掛ける。
【浜中慎哉】