2010年9月5日 19時4分 更新:9月5日 21時18分
落語の演目にちなんだ毎年恒例の「目黒のさんま祭り」が5日、東京都品川区の目黒駅前商店街で開かれた。今年は不漁で価格が高騰しているが、例年同様約6000匹が無料で振る舞われた。一方、サンマを目玉にした各地の催しの中には、不漁の影響で中止したり、延期したものもあり、「無料で提供するような魚ではなくなっている」と嘆く声も聞かれる。
目黒のさんま祭りは今年で15回目。サンマを無料提供してきた岩手県宮古市でも不漁に泣き、8月29日に予定していた「さんま大漁祭」を中止。一方、「約束した以上は必ず」との心意気で、事前にかき集めたサンマを、鮮度が落ちないよう海洋深層水で作った氷で保存して届けた。
この日、焼き場担当の伏見浩一さん(51)は「開催できるか心配もあったが、宮古を信じていた」と汗だくで一言。庶民の味を求めて午前中から最高で2000人が行列を作った。
東北区水産研究所によると、今年は海水温が高く、サンマが密集する温度帯の漁場が日本列島近くにないため、不漁につながっているという。全国さんま漁業協会によると、今年のサンマの漁獲量は2日現在で8672トン(速報値)で前年同時期と比べわずか2割、価格は前年比3倍以上になっているという。4日の築地市場では、中値で1キロ1155円(昨年同日は同368円)をつけた。
他の地区では、岩手県大船渡市の「三陸大船渡さんままつり」が12日の予定を10月23日に延期。北海道根室市の「根室さんま祭り」(今月18、19日)でも毎年約3万匹を無料で提供しているが、今年は確保できるサンマの量にめどが立たず、提供数がギリギリまで決められないという。
同市の担当者は「例年通りやりたいが、漁師さんにも『下さい』とお願いできるような状況じゃない」と声を落とした。【神足俊輔、堀智行】