2010年7月20日 11時6分 更新:7月20日 11時12分
わが子に「理系進学」を希望する父親は、文系進学を望む父親より4倍多いことが、化学メーカー「クラレ」の調査で分かった。日本の政治や経済に閉塞(へいそく)感が漂う中「子どもには論理力や専門性を武器に生きていってほしいという親心の表れではないか」としている。
調査は1月、小学生の子を持つ20~50代の父親400人(理系、文系各200人)を対象にインターネットで実施した。
子どもに「理系に進んでほしい」と答えた父親は31%で、「文系に進んでほしい」の7%を圧倒した。残りは「どちらでもよい」(62%)だった。
理系進学を望む理由を複数回答で尋ねたところ「論理的思考が養える」(53%)、「専門知識が身に着く」(41%)、「進学や就職に有利」(32%)--の順。回答の傾向が分かれたのは「楽しい人生が送れる」(10%)で、これを選んだ文系の父親が19%だったのに対し、理系の父親はわずか5%。理系に進学した自分の人生を重ねたかのような回答は「隣の芝生は青く見えるのでしょう」と同社。
一方、自身が子どものころ、研究者や科学者になりたいと思ったことがある父親は48%。あこがれた科学者は日本人では湯川秀樹や野口英世、外国人ではアインシュタイン、エジソンなどの名前が挙がった。
また、56%がわが子の理科の教科書を「分量が足りない」と感じていた。同社は「理科をたっぷり学んで楽しさも知っている世代だけに、教える内容を減らしたゆとり教育を物足りなく思っているようだ」と分析する。【田中泰義】