2010年7月16日 21時27分 更新:7月17日 1時3分
菅直人内閣は16日の閣僚懇談会で、11年度予算の概算要求基準について意見交換を行い、策定作業を本格化させた。だが、民主党内では大敗した参院選の総括を執行部に求める声が上がるなど、概算要求基準の議論がずれ込んでおり、来年度予算編成は早くも波乱含みとなっている。
「消費税やマニフェストはもっと多くの議員で議論すべきだ」。16日に開かれた民主党政策調査会の拡大役員会は、参院選の総括に議論が終始し、政府が月内の取りまとめを目指す概算要求基準には話が及ばなかった。
昨年の10年度予算編成では、予算編成作業は政府に一元化され、12月の予算案決定直前に党の要望を受ける形を取った。しかし11年度予算は、概算要求基準の段階から党の意見を反映させる。党政調で意見をまとめ政府に提言を出す予定だが、14日から始まった政調は参院選の敗因を巡って紛糾が続き、概算要求基準についての議論は20日以降にずれこむことになった。
政府は、各省に既存予算を大幅に削減させたうえで概算要求を提出させる方針で、8月末の提出期限まで十分な時間を確保するため、7月23日にも基準をまとめたい意向だった。しかし、政調には「参院選の総括が終わらないうちは提言もできない」との強硬論も出ている。政府は20日の閣僚懇談会で野田佳彦財務相らが基準の骨子を示すが、政調の議論の行方次第では、月内の基準決定すら危うい状況だ。
また、予算の大幅削減には閣僚からの反発も予想される。前原誠司国土交通相は16日の会見で、「公共事業は(10年度予算で)1・3兆円削減した」と述べ、要求段階での一律削減に抵抗姿勢を見せている。参院選大敗で菅直人首相の求心力は低下しており、今後の予算編成過程で各閣僚や党内をまとめ切ることができるかどうか不安視されている。【坂井隆之】