2010年7月16日 12時27分 更新:7月16日 13時33分
宮崎県の口蹄疫(こうていえき)問題で、民間種牛6頭を保有し、殺処分回避を求めていた同県高鍋町の畜産農家、薦田(こもだ)長久さん(72)が16日、県庁の東国原英夫知事を訪れ、6頭の殺処分を17日午前にも受け入れることで合意した。これにより川南町など被害が集中した県央部で、残されていた薦田さんの農場を中心とする半径10キロの制限区域は早ければ18日午前0時にも解除される見通し。解除後の移動・搬出制限区域は宮崎市の1カ所だけとなる。
面会後、会見した薦田さんは「農家の復興のために6頭の命を守ってほしかった。だが、県民のためにならないことはしたくない。不本意だが、殺処分を決断した」と声を振り絞った。一方、「口蹄疫はほぼ終息しつつあり、国のやり方は間違っている」とする国への抗議声明を出すことと、6頭を殺処分する前に国に血液検査をするよう要望したことを明らかにした。薦田さんは「なぜ安全ではないのか。陰性だった場合、殺処分を求める理由を失うから検査しないのか」と疑問を呈した。検査が殺処分の前提ではなく、あくまで証しがほしいとしている。
殺処分の執行停止などを求める訴訟はしないという。知事は当初、6頭を県の保有にすることを国に要望していたが、断念。15日に薦田さん宅を訪問し、理解を求めていた。【石田宗久、小原擁】