2010年7月15日 11時39分 更新:7月15日 15時44分
【ワシントン古本陽荘、ソウル大澤文護】米国防総省のモレル報道官は14日の記者会見で、韓国海軍哨戒艦「天安(チョンアン)」の沈没事件への対抗措置となる米韓合同軍事訓練について、日本海と黄海の双方で行われるとの見通しを示した。当初は事件のあった黄海での訓練を想定していたが中国が反発。発表通り黄海で訓練を実施しつつも、日本海側に訓練を分散させることで中国に一定の配慮を示す狙いがあるものとみられる。
一方、韓国の聯合ニュースは14日、米政府高官が、合同訓練について「原子力空母ジョージ・ワシントンは日本海での訓練に参加する予定」と語ったと報じた。中国は特に、ジョージ・ワシントンが黄海で訓練することに反発していた。
モレル氏は「これらのすべての訓練は防衛的な性格のものだが、北朝鮮に対する抑止の明確なメッセージとなるだろう」と強調。そのうえで、ゲーツ国防長官とクリントン国務長官が訪韓し21日に行われる予定の米韓閣僚級協議で、これらの訓練の実施計画が最終的に承認されるとの見解を示した。訓練の詳細については言及を避けたが、海上訓練に加え航空訓練も実施することを明かした。
中国の反発が影響したかについては「影響があったとは考えていない。決定は我々によってなされるものだ」と指摘した。
聯合ニュースによると、米政府高官は「ジョージ・ワシントンが黄海で訓練するだろうという多くの推測があったが事実ではない」と語った。さらに、日本海での訓練を決めた理由について「ジョージ・ワシントンは既に7~8カ月前に、黄海での大規模合同訓練に参加したが、日本海では一度も訓練したことがない。さらに母港が神奈川県の横須賀港であることから、移動に必要な時間が短く、訓練時間をより多く維持できる日本海が訓練海域として望ましいと判断した」と説明した。
また中国の反発を考慮して、訓練海域を黄海から日本海に変更したのではとの質問に対しては「我々は軍事訓練を決定する際、中国の意向や第三国の抗議などを根拠にしない」と否定した。
モレル報道官はジョージ・ワシントンの参加について「特定の艦船の参加についてこの時点では明かせない」と説明を控える一方、「これまでも黄海を航行している」と含みを残した。
また、クローリー米国務次官補(広報担当)は14日の会見で、両長官が訪韓時に李明博(イ・ミョンバク)大統領と会談する予定を発表した。