2010年7月14日 13時30分
横浜市で09年2月、社員寮の男性管理人を殺害したとして、殺人罪に問われた元左官工、伊作輝夫被告(70)の控訴審判決で、東京高裁(小倉正三裁判長)は14日、裁判員裁判で懲役4年6月とした1審・横浜地裁判決(2月)を破棄し、改めて懲役4年6月を言い渡した。1審が「被告が被害者から危害を加えられるかもしれないと勘違いした」と過剰防衛を認めた点に不備があると判断した。裁判員裁判の判決の事実認定の誤りを指摘した破棄判決は初めて。
検察側、弁護側とも、被告が心神耗弱状態だったとして思いこみによる過剰防衛の成立を争っていなかったが、高裁は職権で事実関係を調査。「被告が被害者からどんな攻撃を受けたと思いこんだのか認定していない」として1審判決を破棄、「被害者が先に包丁を持ったという被告の供述は信用できず、過剰防衛は成立しない」と改めて認定した。【伊藤直孝】