5年ほど前に大手新聞社で編集補助のアルバイトをしていた。ある時、患者の情報公開を求める男性記者に対し、病院が個人情報保護法を盾に開示を拒んでいた。両者の攻防を目の当たりにし、情報を公にする難しさを感じた▲今、私は現場で取材する側にいる。先日、未明の工場火災で取材を拒否された。2日後に電話をもらって足を運んだが、「現場は公開できない」と対応は変わらず。プライバシー保護、火事現場は危険だ……。今回に限らず、他の場所でも同様の対応を受けることが多い▲取材する側とされる側で、情報公開に対する意見は違う。ただ、消防車数台がサイレンを鳴らし、高い塀で囲まれた中へ入っていく。「何があったの?」。誰もが疑問を抱くはず。一般市民の立場に立てば……。その視点で考えたい。【岡村崇】
毎日新聞 2010年9月5日 地方版