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百聞百見とくしま:医師の事務負担を軽減、注目される「医療クラーク」 /徳島

 ◇県が人件費補助、来月から 配置増加へ初の社会実験

 医療現場の深刻な人手不足を補う職種として近年、「医師事務作業補助者(医療クラーク)」が注目されつつある。医師の負担を減らすために診断書の作成などの事務作業を担う仕事で、国は08年度から診療報酬に加算する形で導入を図った。各医療機関が採用を模索していた中、県は10月から人件費を補助し、配置増加に向けた初の社会実験を始める。【井上卓也】

 医療クラークは、医師の事務作業のうち、診断書などの文書作成補助▽診療記録(電子カルテ)への代行入力▽診療に関するデータ整理--などに従事する。作成した文書に医師の認証が必要だが、特別な資格は必要ない。県医療政策課によると、県内で医療クラークを採用しているのは、徳島赤十字、徳島市民など12病院で計約70人が勤務する。

 県立中央病院(徳島市蔵本町1)眼科外来の山田由美さん(31)は4月から医療クラークとして働く。病院の勤務経験はあったが当初は勤務内容に不安もあった。今では、医師と連携して順調にこなし、「外来診療や手術、入院患者の診察をこなしながら、外部から依頼される講演の準備もある。医師の仕事の大変さを間近で実感した」と話す。

 しかし、可能な業務はあくまで文書作成などに限られ、看護の補助などを行うと、病院は報酬加算が受けられない。ひっきりなしに外来患者が訪れる診療室で、山田さんは「もっと手伝えたらと思う時はある」と漏らす。

 眼科の武田美佐医長(47)は「事務に時間が取られていたのでとても助かる」と歓迎する。診療に集中することで効率が上がるなど患者のメリットにもつながっていることを強調する。ただ、制度自体については、「専門用語が不可欠な仕事。仕事の蓄積を評価するためにも、法的資格を設けるなど整備を進めるべきでは」と話す。

 県が人件費の補助を始めるのは、「報酬加算だけでは採用は厳しい」と導入を見送る病院があるためだ。来年3月末までの半年で1人当たり200万円を上限に補助する。対象となるのは、「年間の緊急入院患者数が100人以上」などの条件を満たす公立・民間計約40の救急病院で、県内全体で100人程度の配置を見込む。終了後には各病院に効果や問題点について報告を求め、さらに検証を進める方針だ。

 県の動きを受け、県立中央病院は現在の9人から20人に倍増させる方針。山田さんは「始まって3年目で、まだ制度が確立していない部分もある。より活躍の場が広がるような制度になれば」と話している。

毎日新聞 2010年9月5日 地方版

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