韓国:国璽の余った金、政官界流出か 制作の書家横領供述

2010年9月5日 9時43分 更新:9月5日 10時19分

古い国璽(右)と、問題になっている4代目の国璽=朝鮮日報提供
古い国璽(右)と、問題になっている4代目の国璽=朝鮮日報提供

 【ソウル西脇真一】国家の印章である「国璽(こくじ)」制作の際に余った金が、金印に姿を変え政官界へのロビー工作に使われた--こんな疑惑が韓国で浮上、警察が捜査を進めている。制作を請け負った書家は、既に警察の聴取に純金1.2キロを横領したと供述、金印への流用に関心が集まっている。「朝鮮王朝時代からの伝統技法」との触れ込みもうそで、電気炉で制作されていたことも判明。国璽の品位低下が懸念されている。

 韓国の国璽は建国直後の1949年に初めて作られ、3代目の国璽に亀裂が見つかったため、政府が07年に4代目を制作。縦、横約10センチの金の合金製で、上部に鳳凰(ほうおう)をあしらっている。「大韓民国」とハングルで彫られ、憲法改正の公布文や外交文書などに使用される。

 韓国メディアによると、公募で書家が選ばれ、仲間と共に制作にあたった。ところがその後、事業をめぐって書家がこの仲間と対立。立腹した仲間が、「書家が金を横領し、この金で作った印を有力政治家や官僚にばらまいた」と暴露した。

 ソウル地方警察庁が捜査し、書家は事情聴取に、純金3キロを購入したが、未使用分や作業現場から回収した金計1.2キロを政府に返却しなかったことを認めた。また「国璽制作の伝統技法も知らない」と供述したという。

 横領した金を使った印の行方については、まだ捜査が及んでいない模様だが、「金かどうかは分からないが、印鑑はもらった」などと、事実を認める有力政治家や元高級官僚も出現。「書家は伝統技術保持者の肩書を得ようと、ばらまいたようだ」(韓国紙記者)との見方が出ている。韓国では大きく報道され、こうした人物を制作者に選んだ行政安全省の責任を問う声も強い。

top
文字サイズ変更
この記事を印刷

PR情報

 

おすすめ情報

注目ブランド