作詞家 秋元康 社長インタビュー 社長インタビュー|たまごが立たないコロンブスたちへ!

社長インタビュー たまごが立たないコロンブスたちへ!Vol.013

掲載日:2008年11月20日  社長インタビュー一覧
時代が要請する“メガ・ヒット”メーカー 作詞家 秋元康
作詞家、放送作家、プロデューサー、大学教授、小説家、CMプランナー、映画監督・・・365日24時間の中で様々な顔を併せ持つ。だが、その根底に一貫して流れているのは「世の中のため、誰かのため」に、自分のアタマをフルスロットルで回転させ喜びと愉しみを提供し続けていることだ。では、そのアタマの中はどんな構造になっているのか?誰も知らない真意が・・・ここに!!
たまごが立たないコロンブスたちへ!とは?

目指せば、社長は誰でもなれる時代…。
でも、社長には、必ず苦難の壁が立ちふさがります。そのような壁を乗り越え、輝く成功をつかみ取った社長たちの物語に、カリスマ顧問の越石一彦が鋭く迫ります。

聞き手 顧問 越石一彦
「人がやらない」から、ヒットが生まれる。

秋元さんにとって、「アイディアを生み出す秘訣」とは何ですか?

まず大事なことは「考えない」こと。
頭で考えたコンセプトに捉われてはいけないということです。
とにかく何も考えないことです。
アイディアというものは、映画を見たり、本を読んだり、日常の蓄積から化学反応を起こすものなので、理屈を先に考えても意味がないと思います。


一般的なマーケティングから考えると、どうしても発想が予定調和になってしまいがちです。そこから生まれた当たり前の計算では、誰もが同じことを考えるわけですから、新しいものは生まれません。
むしろ、誰も見向きもしない「マイナスの要素」に目を向けたり、無理だと思うことに目を向けるべきです。「人の行く裏に道あり花の山」ですね。



何か特別なビジネス書を読んでも意味がないということですか?

ベストセラーになったビジネス書は目を通しますが、それを読んだからと言って、素晴しいアイディアが思いつく訳ではありません。
あくまで、ひとつの考え方がそこに書かれているということです。
山頂を目指す登山家が、他の登山家が登ったルートを知るようなものです。


人生に正解がないように、ビジネスにも正解はありません。大切なことは、「自分はどのルートで山を登るか?」です。思いがけないルートで登った人に、本当の意味での「成功」があります。


好奇心は発想のタネ

それでは、何が一番必要なのでしょうか?

心にメモを取ることです。実際にメモを取ると、ただの記録になってしまいますが、見たもの、聞いたもの、感じたものを貯金することが重要です。
役に立たないと思っていたことが、ある日、何かのヒントになったりするんです。
好奇心こそ、一番の発想のタネだと思います。

あと、もうひとつ言えるのは「結果を残すこと」です。
僕も帝に使える占い師と同じで、外れたらそこで終わりなんです。
結果を残せば、NEXTがある。小さな実績の積み重ねがチャンスを広げます。
靴を履く習慣がない人たちがいるとします。その時に「靴を履く習慣がないから、靴は売れない」と思うか?「靴を履く習慣がないから、(靴を履く習慣さえ根付けば)巨大なマーケットになる」と思うか?起業家とは後者に賭けるセールスマンのことだと思います。

経営者は「羊飼い」に似ています。多くの羊たちをどうやって進むべき道に導くか?
そのリーダーシップが問われます。



人生のターニングポイントについて教えてください。

結婚した32歳が分岐点だったと思います。
ヒットメーカーと呼ばれ、分不相応な収入を得ました。僕の父は普通のサラリーマンだったので、そんな時代の潮流に飲み込まれそうな自分が怖くなったのです。放送作家としても作詞家としても専門的な勉強をしたわけではなく、アルバイト感覚だった仕事の責任の重さを感じてニューヨークで勉強し直そうと思ったのです。

それまでは、たまたま入ったパチンコ屋さんで思いがけず玉が出て、そろそろ止めて大学に戻ろうとしているうちに、気づいたら32歳になっていた。楽しい時間ではあったわけですが、一度、仕切り直しをしようとしたんですね。


正しいバットの持ち方

放送作家、作詞家、映画監督、作家など次々と変化しながら成功を収めているのはどうしてですか?

「自社ビルを建てると潰れる」とある大会社の社長さんに教わりました。この言葉の真意は「自分で絶頂を作ってはいけない」ということです。後は、それを守るだけになってしまいますから。

僕も20代はやることすべて当たって、10戦10勝すべてのことに全勝できると過信していました。しかし、40歳くらいからは「勝ち越せばいいや」と思えるようになったんです。そう考えると、余裕が生まれ、チャンスのタイミングがわかるようになるんですね。


得意なボールが来るまで待てばいい。見逃し三振したって、10回のうち3回ヒットが出れば3割打者です。そのためには、自分はどういうボールが得意なのかを見極める必要がありますね。



おもいっきりバットを振るべきなのでしょうか?

ビジネスのやり方として、非常に緻密に計算し、費用対効果を考えて、それこそバットを短く持って確実に当てて行く方法もあります。でも、それではホームランは生まれません。僕もチームプレーとして塁に出なければいけない時はバットを短く持ちます。
逆に、周囲が「辞めた方が良いよ」と言ったモノに、とてつもないビジネスチャンスが潜んでいます。得点を稼いでいる時、あるいは0対0で試合が進んでいない時、バットを一番長く持って長打を狙うことも必要だと思います。

「まさか、あんなボールを打つとは思わなかった」とまわりが呆れる時、ホームランが生まれるのです。


そしてこの後「AKB48」「うどん屋」「セガのCM」・・・。
世間を賑わし、話題を生み出した秋元流「仕掛け作りのヒント」が明らかとなります。ご期待ください!



【次号】第2回:ビジネスの匂い・お金の匂い・人間の匂いを感じ取れるかどうか。


越石 一彦 KOSHIISHI,Kazuhiko
株式会社クライアントサイド・コンサルティング 代表取締役社長
アントレプレナードットコム株式会社 代表取締役会長

 

史上最年少31歳で山一證券池袋支店の課長に就任。メリルリンチ日本証券を経て、株式会社クライアントサイド・コンサルティングを設立、代表取締役に就任。
現在、企業顧問として、現場の直接行動を劇的に変化させる実践論を中心に常時20社以上のベンチャー企業や上場企業の経営を支援。
また、アジア国際支援財団の評議員 議長、函館大学非常勤講師も務める。「ビジネスで成功する決め手は、パーソナルブランド」(ゴマブックス)など著書、講演多数。

 

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