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◆中日3―0巨人(4日・ナゴヤドーム) 山本昌が両腕を控えめに突き上げると、スタンドは総立ちになった。球史に残る偉業が達成された瞬間だ。9回2死二塁で阿部を二飛。45歳0か月の山本昌が最年長完封勝利の記録を、実に60年ぶりに塗り替えた。
「よく知らんけど、新記録? 完封なんて思いもしなかった。最後の完封かもしれないんで、楽しんで投げた」。07年4月17日の阪神戦(ナゴヤD)以来、自身3年ぶり、通算30度目の完封勝利。通算209勝目は鉄腕左腕の歴史に新たな1ページが加わった。
「どんどん打って来るジャイアンツだから、うまくはまってくれたかな」と自画自賛したように、4回1死一塁ではエドガーの外角にスクリューを投げ込み、計算通りの三ゴロ併殺打に仕留めた。落合監督は「1点入れられたら代えてたけどな」と笑ったが、プロ27年目の投球術で9イニングを投げきった。
現役続行も決定的となった。前半戦は故障で棒に振ったが、8月7日に出場選手登録され、5試合で無傷の4勝。「やっぱり、成績を出して、優勝に貢献することだとは思っている」と本人は“現役続行”を明言しなかったが、西川球団社長が「まだ若い。あれだけ良ければ、辞めるなんて考えないでしょう。こちらが条件をつけることでもない」と、契約更新の方向性を示した。
山本昌は前夜、電話をかけずにはいられなかった。現役引退を発表した元同僚の阪神・矢野をねぎらった。「敵チームになってからよくやられたけど、これからは応援してくれるんじゃないかな」としみじみと語った。
チームは今季4度目の5連勝。ついに首位・阪神に0・5ゲーム差に接近した。「矢野の分も頑張りたい」と力を込めた。ユニホームを脱いでいく無数の仲間の思いも背負って、4年ぶりのリーグ制覇に向け、山本昌はマウンドに立つ。
(2010年9月5日06時03分 スポーツ報知)
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