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【大リーグ】元広島・ルイスがダルに太鼓判! 本紙独占インタビュー2010年8月28日 紙面から 【アーリントン大城和美】前広島でレンジャーズのコルビー・ルイス投手(31)が26日(日本時間27日)本紙の単独インタビューに応じた。ア・リーグ西地区の首位快走に貢献するルイスは、昨季まで2年間過ごした広島時代の思い出に始まり、日本人投手がメジャーで成功する秘訣(ひけつ)まで緊急提言。今オフのポスティング移籍が決定的な日本ハムのダルビッシュ有投手(24)の力量に関して太鼓判を押すとともに、今後の日本人投手のメジャー挑戦を大歓迎した。 −まず07年オフに日本行きを決めた理由を 「2007年はアスレチックスのマイナーとメジャーを行ったり来たり。08年もメジャーなのか、マイナーなのか分からなかったときに、広島が1年保証、2年目は球団オプションという、いいオファーをしてくれた。僕ら夫婦にとっては、断れないような年俸(※1)だった(笑)」 −広島では2年連続奪三振王。米球界復帰を決めたのは? 「本当は、もっと長く広島でプレーしたくて、昨オフ、チームと2年契約の交渉をしていた。僕はそんな高額を要求したりはしてないよ(笑)。でも、『ノー』という返事。そうこうしているうちに、メジャーの複数球団から連絡がき始めた。妻の健康問題(甲状腺の病気)を考え、米国で日本と同じくらいの年俸をもらえるのだとしたら、やはり医師のこともあるし、こちらの方でプレーする方がいいということになった」 −日本の生活はどうだった? 「住まいは球場まで徒歩15分の距離で、僕は自転車通勤。広島は落ち着いて住める感じで、いい街だった。外国人は少ないし、僕は長身(193センチ)だから、どこへ行っても目立って『ルイスさん!! ルイスさん!! サイン』とか『シャシン、オネガイシマス』(日本語で)と言って、携帯で写真撮影したり。スーパースター? そうだね(笑)。日本で過ごした2年間は楽しかった。日本文化、生活、日本野球を堪能した。出店、お祭り、お盆、桜の花見…。原爆記念日や精霊流しにも感動した」 −今は多くの日本選手がメジャー行きを考えているようだが 「日本にはメジャーでプレーできる能力を持った選手がたくさんいる。でも、メジャー移籍に可能なFA権を得るのに9年もかかるという規則は選手たちに不公平だ。米国では、高卒でドラフトされて何年か後に、日本への移籍が可能なのに、その逆はできない。ダイスケ(レッドソックス・松坂)のケースのように、メジャー球団が彼との交渉権を得るためだけに何千万ドル(※2)も支払うのはおかしい。メジャーでプレーする能力があってプレーしたい選手は、20歳でも、メジャーでプレーすることが可能であるべきだ」 −ダルビッシュ(日本ハム)や岩隈(楽天)の印象は? 「ダルビッシュはできるだけ早くメジャーに来るべきだ、と思う選手の一人だ。26、27歳まで待っていたら、その時彼がどうなっているか、何が起こっているか誰にも分からない。日本のFA制度の年数を変更すべきだ、と思う。岩隈も、メジャーで成功すると思う。投手の場合、速球を見ればメジャーで通用するかどうかすぐ分かる」 −メジャー志向の選手にアドバイスは? 「日本人投手は球数を少なくすることを学んだほうがいい。ダイスケの場合5、6イニングで100〜120球投げる傾向があるようだけど、メジャーでは8、9イニングで110球くらいが目安で、早くアウトを取ることが望まれる。日本にいる時から、球数を少なくアウトを取る投球法を身に付けていれば、すごくプラスになると思う」 −最後に同地区、エンゼルスの松井秀喜にはどんな印象を? 「彼がヤンキース入りしたときから知っているけど、とても勝負強い打者のイメージがある。今季は、不思議なことにまだ1回も対戦がないんだ。9、10月に直接対決が7試合も残っているから、必ず彼との対戦はあると思う。それまでに地区優勝を決めていたいけど、初対戦を楽しみにしているヨ」 ※1 推定年俸=08年9500万円、09年1億4300万円 ※2 松坂の入札額=5111万1111ドル、当時のレートで約61億円 ◆ルイスVS日本人メジャーリーガー▼松井秀喜(当時ヤンキース) 03年に3試合で対戦し、打率.500(6打数3安打)、1本塁打、3打点、1四球。 ▼イチロー(マリナーズ) ルイスがメジャー通算で最も対戦が多い打者。02年から今季まで、通算.378(37打数14安打)、2打点、2四球、6三振。 ▼その他の対戦 城島(元マリナーズ)と2打数無安打、田口(当時カージナルス)と1打数無安打、井口(当時Wソックス)と4打数無安打、福留(カブス)と2打数無安打1四球。09年はロッテに復帰した井口と2試合で5打数1安打1四球。 ◆ダルに○、岩隈に● ルイスは08年にダルビッシュ、岩隈とそれぞれ1度ずつ交流戦で対戦。ダルビッシュとは6月4日に札幌で投げ合い、8イニングを6安打2失点、13奪三振で勝ち投手。ダルビッシュは6安打3失点、7奪三振で完投負けだった。同22日には広島で岩隈と対戦。ルイスは6イニングを7安打3四球3失点で降板し、岩隈は8イニングを5安打2四球1失点で7奪三振。田中が9回1イニングを締めた。ルイスは「岩隈と投げ合った当日は、風邪気味で体調が悪かった」と悔しそうに振り返った。 <コルビー・ルイス> 1979年8月2日、アメリカ合衆国カリフォルニア州出身の31歳。193センチ、104キロ。右投げ右打ち。99年MLBドラフトでレンジャーズに指名され契約。02年4月1日にメジャーデビュー。03年には2ケタ勝利(10勝9敗)を飾る。04年は右肩痛で長期離脱し復帰後はタイガース、アスレチックスを経て08年から広島移籍。2年連続奪三振王のタイトルを獲得し、今季からレンジャーズで開幕から先発ローテを務める。
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