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若手4人、太宰作品演出バトル それぞれの手法で4作品

2010年9月5日

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太宰作品をテーマに4人の演出家が上演する演劇会のチラシと松枝佳紀さん=杉並区

 小劇場で活躍する4人の若手演出家が、作家・太宰治の4作品を取り上げ、それぞれの視点や方法で短編劇を披露し合う公演が今月30日から杉並区の劇場で始まる。毎回の公演後、太宰の伝記や映画にかかわった作家、監督、女優ら多彩なゲストに芝居を批評してもらい、観客へのアンケートで審査結果を発表する異色の「演劇バトル」だ。

 この催しは「Project BUNGAKU 太宰治」。4人の演出家が主宰する劇団が集まって制作委員会を旗揚げした。

 制作・総指揮は、公演に参加する演出家の一人、松枝(まつがえ)佳紀さん(41)。日本銀行在職中に高校時代の演劇熱が再燃し、退職後の2004年に劇団を旗揚げした変わり種だ。

 松枝さんは、「とがった芝居で注目していた」他の3人の若手演出家がみんな太宰好きなのを知り、太宰の全集を読んだところ「はまった」。そこで、「それぞれの演出家が太宰作品をどう解釈して表現するか勝負しよう」と、この春「競演」を呼びかけた。

 上演するのは、「HUMAN LOST」(演出・広田淳一さん)、「燈籠(とうろう)」(同・吉田小夏さん)、「ヴィヨンの妻」(同・松枝さん)、「人間失格」(同・谷賢一さん)の四つの演目。それぞれ20分の短編演劇だ。

 毎回の公演後、4人の演出家と座談会で語り合う多彩なゲスト陣も目を引く。

 太宰の愛人・山崎富栄の評伝小説を書いた松本侑子さんをはじめ、大学の授業で精神科病院に入院した太宰を症例として取り上げている精神科医の香山リカさんや、太宰の弟子・小野才八郎さん、太宰作品を朗読している三鷹市のフリーアナウンサー原きよさんら16人が出席する。

 この中で、松枝さんは太宰の伝記を書いた作家で都副知事の猪瀬直樹さんに電子メールを送ったところ、「面白い企画ですね。基本的に了解しました」と返事があった。また、2月に公開された映画「人間失格」を監督した荒戸源次郎さんもOKし、映画に出演した女優・三田佳子さんを紹介してくれたという。

 座談会では、ゲストに太宰文学観などを尋ねながら芝居の批評をしてもらう。観客にはアンケート用紙に面白かった芝居の順位をつけてもらい、翌日の主催団体のホームページで集計を発表する。

 松枝さんは「太宰作品の豊かで多様な面白さとともに、いろんな表現を試みている小演劇界の若者たちの存在を知ってほしい」と話す。

 公演は杉並区上高井戸1丁目の八幡山ワーサルシアターで10月10日まで(4日休演)。前売り3200円(当日3500円)。問い合わせは北沢さん(090・6521・5230)へ。(佐藤清孝)

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