シルバースタージャパンは2009年3月25日(水)、東京・秋葉原にある「メイドカフェ ぽぽぷれ」にて、ニンテンドーDS向けソフト『ハチワンダイバーDS』と、Wiiウェア向けソフト『ハチワンダイバーWii』の発売を記念するイベントを実施した。
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本作の原作にあたるコミック「ハチワンダイバー」は、コミック誌「週刊ヤングジャンプ(集英社 刊)」で連載されている将棋バトル漫画。主人公の青年・菅田健太郎が「アキバの受け師」と呼ばれる女真剣師など、数々の個性的なキャラクタと対局を重ね、成長していく様子が描かれる。また同作品は、2008年にはテレビドラマにもなっている。
『ハチワンダイバーDS』および『ハチワンダイバーWii』では、プレイヤーが主人公の菅田健太郎となり、原作に登場するキャラクタたちとの対局を楽しむことができる。
発表会には、原作コミック「ハチワンダイバー」の作者・柴田ヨクサル氏と、同コミックの監修を務めるプロ棋士・鈴木大輔八段が登壇。さらに、「ハチワンダイバー」の大ファンだという女流棋士・藤田綾女流初段も登場し、3名によるトークショウが行われた。今回は、その模様をお伝えしよう。
原作を忠実に再現!『ハチワンダイバーDS/Wii』 |
初めに会場では、『ハチワンダイバーDS』『ハチワンダイバーWii』のゲーム概要説明が行われた。
本作には「イージー」から「ハード」まで3段階の難易度が用意されており、将棋の初心者から上級者まで幅広い層のプレイヤーが楽しめるつくりとなっている。特に「イージー」では、次に打つ手を2つの手から選ぶだけで対局を進めていけるというシステムが採用されている。それに加えて、原作でも登場する「ダイブ」を使用すれば、一発逆転を狙える指し手を知ることができるので、初心者にもわかりやすい。
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初心者がCPUに勝てず、プレイをあきらめてしまうことが無いように、難易度「イージー」では徹底的な配慮がなされている |
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対局は、原作コミックと同じ盤面の状態からスタートする。原作コミックとは違う、自分だけの打ち方で相手に挑むことも可能だ |
また、ストーリーモードの内容も充実しており、原作の通りに将棋対決で勝利を収めていけば原作どおりの展開を再現可能。勝負に負けた場合は、原作とは違った展開を楽しむことができる。さらに、イベントや対局で、ヒロイン・中静そよの好感度を上げていけば、様々なエンディングを見ることが可能だ。
ほかにも、登場キャラクタと自由に対戦できる「VS対局」や、将棋のルールを基礎から教えてくれる「将棋教室」も用意されている。
なお、『ハチワンダイバーDS』ではさらに、DSのワイヤレス通信機能を使用したダウンロードプレイを使用して対局ができる「2P大局」も登場。さらにDS版では、100問の詰将棋に挑む「修行」、原作と同じ対局をじっくりと鑑賞できる「名局鑑賞」、はさみ将棋「なるぞうくん はさみ将棋」も収録される。
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様々なゲームモードを収録し、原作の世界観を隅々まで楽しむことができる |
作者・柴田ヨクサル氏登場! メイド姿の“そよ”も…!? |
その後ステージには、コミック「ハチワンダイバー」の作者・柴田ヨクサル氏と、「ハチワンダイバー」の監修を務めるプロ棋士・鈴木大輔八段が登場。さらに、プロ棋士・藤田綾女流初段も、「ハチワンダイバー」のヒロイン・中静そよをイメージしたメイド服姿で登場し、3名によるトークショウを行った。
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左から、漫画家・柴田ヨクサル氏、プロ棋士・鈴木大輔八段、プロ棋士・藤田綾女流初段 |
●「ハチワンダイバー」を描くきっかけは何だったんですか?
★柴田ヨクサル氏
「元々私は相当なレベルの将棋ファンで、何度か将棋を題材にした漫画を描く機会もあったんです。でも当時は、初心者にもわかりやすく将棋の良さを伝えられる自信がなかったので、いくつか別の作品を経験して実力をつけた後に、改めて将棋漫画を描き始めたという経緯があります」
●将棋に関する思い出について、詳しく教えてください。
★柴田ヨクサル氏
「実は小学校6年生の時まで、本気でプロ棋士になることを目指していたんです。今思うと、とてもじゃないけどなれるような実力はなかったですけど(笑)。現在、将棋をモチーフにした漫画を描いていることが、とてもうれしいです」
●「ハチワンダイバー」がゲーム化された感想は?
★柴田ヨクサル氏
「うれしい限りです。私は漫画を描く時、テンポの良さを大事にしているんですが、ゲーム版もテンポが非常に良いです。速いテンポにつられて、どんどんゲームの世界観に引き込まれていきます」
●ゲーム版で、注目してほしいところは?
★柴田ヨクサル氏
「私が一生懸命に描いたゲーム版のキャラクタイラストに注目してほしいです(笑)」
●「ハチワンダイバー」を監修することになったきっかけは?
★鈴木八段
「共通の知人から紹介を受けたのがきっかけです。漫画の監修は初めて不安だったのですが、柴田さんの情熱にほだされて、監修することを決めました」
●コミックで使用される棋譜は、どのように考えているんですか?
★鈴木八段
「私の実戦譜をそのまま使う時もあるんですが、柴田さんから“このタイミングでピンチに追い込まれてほしい”とか“最後は一気に形勢逆転したい”といったオーダーを受け、1から作る場合が多いです。対局する各キャラクタのイメージをふくらませながら一手一手を作り上げていくので、寝る間も無いほど苦労しています(笑)」
●原作の中で、一番作るのが大変だった棋譜は、どの対局のものですか?
★鈴木八段
「“菅田健太郎”対“ニこ神”の対局ですね。私がどのような棋譜にしようか悩んでいたところ、柴田さんから絶版になった古い定石本が送られてきて、それを参考にしました」
●原作の「ハチワンダイバー」は、どんなところが好きですか?
★藤田女流初段
「対局の内容も濃くて楽しいし、将棋を知らない人でも理解できるというところです。私の友人で、将棋を全く知らない人も、楽しく読んでます」
●中静そよと同じく、メイド服を着た感想は?
★藤田女流初段
「ちょっと恥ずかしいです(笑)。こういった衣装を着るのは初めてなので…」
●発売前に『ハチワンダイバーDS』をプレイした感想は?
★藤田女流初段
「原作に忠実で、すごく楽しいです。まるで漫画を読むのと同じようにストーリーを楽しめます。“ダイブ”に関しても原作の雰囲気を再現していて、原作ファンとして楽しみたいです」
発表会の最後には、柴田氏と藤田女流初段による、『ハチワンダイバーDS』の「2P対局」モードを使用した対局が行われた。
対局の前に藤田女流初段は、「原作のそよと同じ戦法で挑みたいと思います」とコメント。それに対して柴田氏は、「華々しく…散ります(笑)」と、弱気な発言をしていた。
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アマチュア5段の実力を持つ柴田氏と、
プロとして負けるわけにはいかない藤田女流初段の対決が始まる |
ルールは原作にも登場する、自分の持ち時間「10分」を消化してしまうと自動的に負けとなる「10分切れ負け」にて進行。対局の解説は鈴木八段が担当した。
序盤、柴田氏は積極的に攻め込む。柴田氏の力量を試す意味も込めて、あえて不要な駒を動かして様子を見ていた藤田女流初段であったが、柴田氏の的確な駒運びで、徐々に追い詰められていくことになる。
相手にわざと「歩」の駒を取らせたり、積極的に持ち駒を相手の陣地に打ち込んで囲いを崩す戦法など、両者ともに一歩も引かない戦いを見せた。対局の終盤で、一気に柴田氏が攻め込み、見事藤田女流初段を下した。
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鈴木八段によると、かなり柴田氏の打ち方は筋が良く、藤田女流初段を圧倒するほどだという |
対局中の盤面。上が柴田氏、下が藤田女流初段である |
鈴木八段は時に、柴田氏の指し方に対して「そこは悪手ですね」「点数で言うと40点ぐらいの手でしたね」など、やや辛口気味なコメントをすることもあった。しかしほとんどの手は「良い手です」と褒めていることから、柴田氏の打ち筋の良さがうかがえる。プロ相手にハンデ無しで見事な勝負をした柴田氏は、終盤に相手の陣地へと一気に攻め込み、見事藤田女流初段を下した。
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勝利を収めたのは柴田氏。鈴木八段曰く、アマがプロを下すのは滅多に無い事だとか |
こちらが終局時の盤面。王手まで103手であった |
対局を終えて柴田氏は「ものすごく緊張しました。勝ててうれしいです」と笑顔でコメント。一方の藤田女流初段は、「急所急所に的確に指されて苦しかったです。なんとか巻き返そうとしましたが、だめでしたね」と話している。
◆『ハチワンダイバーDS』
メーカー:エレクトロニック・アーツ
対応機種:ニンテンドーDS
ジャンル:エンターテイメント将棋AVG
発売日:2009年3月26日(木)
価格:4,980円(税込)
プレイ人数1~2人
CEROレーティング:「D」(17才以上対象)
◆『ハチワンダイバーWii』
メーカー:エレクトロニック・アーツ
対応機種:Wii
ジャンル:エンターテイメント将棋AVG
配信開始日:2009年3月24日(火)
価格:1,000Wiiポイント
プレイ人数1人
CEROレーティング:「D」(17才以上対象)