大阪府岸和田市の長屋住宅で、大量のゴミの下から生存していれば83歳の清井トシ子さんとみられる白骨遺体が見つかった事件で、清井さんと同居していた三男(52)が遺体と同じ部屋で寝起きしていたことが、大家の男性(63)への取材でわかった。三男は3日朝から行方がわからなくなっているという。
岸和田署によると、遺体はブラウスとスウェットのズボン姿で靴下をはいていた。目立った外傷はなかった。遺体が見つかった居間はゴミであふれていたが、一角だけゴミのないスペースがあり、布団が敷かれていた。大家によると、この布団で三男が寝起きしていたという。
捜査関係者によると、清井さんは1990年から同住宅に入居。その後三男が同居した。長男(60)と次男(55)がいるが、長く疎遠になっていたとみられる。
大家は約3年前、自宅の居間にいる清井さんに「元気か」と声をかけたのが、姿を確認した最後だという。大家によると、三男は土木作業の仕事をしていたこともあったが、ここしばらくは無職で、清井さんの年金を引き出して生活していたという。水道は約6年前、市に閉栓届が出され、使われていなかった。
大家は今年8月以降、三男に少なくとも5回会った。今月1日には頼まれて1万円を貸した。2日午前には家賃の支払いなどをめぐって大家の事務所で会う約束をしていたが、現れなかった。同日夜に家を訪ねると、「貧血だった。(借りた1万円は)もう使った。堪忍してくれ」と説明したという。大家は3日午前7時40分ごろ清井さん宅前に三男の自転車があるのを確認したが、約20分後に訪れた時には自転車はなくなり、三男の行方もわからなくなったという。
府警は4日、清井さん宅を現場検証した。捜査員らがトラック2台分のゴミを運び出したが、まだ大量のゴミが家に残っているという。