大阪府岸和田市の長屋住宅から、生存していれば83歳の清井トシ子さんとみられる遺体が見つかった事件で、行方が分からなくなっていた清井さんの三男(52)が4日、同市内で見つかった。府警が発表した。三男は「遺体が見つかると思って逃げた。遺体は母で、4年前に亡くなった。その後、母の年金を不正に受給していた」と話しているという。
岸和田署によると、4日午前7時45分ごろ、三男の知人男性が交番に「三男がうちに金を借りにきた」と通報。署員が市内の男性宅近くで見つけた。所持金はほとんどなかったという。
三男は任意の事情聴取に対し「母は4年前の春先、布団の上でいびきをかき始めたと思ったら、動かなくなった」と説明。遺体に毛布を掛け、そのまま放置していたという。「供養してあげたかったがお金がなかった。遺体をそのままにしたことは反省している」と話しているという。清井さん名義の口座に2カ月に1回約20万円ずつ振り込まれていた年金を引き出していたことも認め、「生活費やパチンコに使った。不正受給だとわかっていた」としているという。高齢者の行方不明問題が話題になり、「大家に『(清井さんは)元気か』と聞かれ、まずいと思った」と話したという。
署によると、三男はかつて土木作業員をしていたが、14〜15年前から無職。清井さんは2005年ごろから寝たきりとなったが、病院に連れて行くこともなく、コンビニで買ったパンなどを与えていた。自宅の大量のゴミについては「元気な頃は母親がゴミ出しをしていたが、母親が動けなくなり、ゴミを自分で出すのが面倒になった」と説明しているという。
府警は、死体遺棄罪の公訴時効(3年)が成立していないか判断するため、6日にも司法解剖して遺体の死亡時期などを調べる。また、三男が年金を詐取した疑いがあるとみて、清井さんの年金の支給状況や口座の出金記録を調べる。