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最終更新:2010年9月4日(土) 19時12分

戦闘部隊撤退、イラク難民の複雑な思い

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 中東・シリアは、隣の国イラクからの難民を最も多く抱えています。先月31日、アメリカ軍の戦闘部隊がイラクから撤退。戦争開始から7年、帰国を望む難民はこの撤退をどう見たのでしょうか。

 「イラクでのアメリカ軍戦闘任務は終結しました」(アメリカ オバマ大統領)

 アメリカ軍戦闘部隊は先月31日、イラクから撤退を完了しました。今後、治安を守るのはイラク軍の任務となります。このニュースを、シリアに住むイラク難民アケールさんは、複雑な思いで見つめていました。

 「こんなの真実じゃない。メディア向けのショーにしかすぎないよ」(アケールさん)

 バグダットに住んでいたアケールさんは、アメリカ軍の横暴な行動と、ひっきりなしに起きるテロに身の危険を感じ、6年前隣国シリアに逃げてきたといいます。以来、首都ダマスカスのリトル・バグダットに暮らしています。同じような境遇のイラク難民は、この撤退をみな一様に悲観的に見ています。

 「悲劇だ。悲劇としか言いようがない」
 「撤退?撤退後に何が起きると思う? もっと危険になるだけで良くなることなんかない」(イラク難民)

 イラク人11万人以上が犠牲になったといわれるイラク戦争。混乱をもたらしたアメリカ軍には出ていってほしい、一方で、依然、テロが相次ぐ中、イラクが自力で治安を守れるとは皆、信じていません。

 「バグダッド・・・、バグダッド行きのバスがあるよ!」(バス会社従業員)

 こちらにあるバスは、すべてイラクのバグダッドへ向かうバスです。しかしアメリカ軍がイラクからの撤退を決めて以来、帰国する難民は激減したといいます。

 「こんな時に帰りたい人なんかいるものか!」(バスの運転手)

 収入も乏しく、帰国を待ち望んでいたアケールさんですが、アメリカ軍が撤退したことで、ますますイラクに戻ることは難しくなったと考えています。

 「米軍の撤退で80%は命の保証がない。もし50%でも保証されるのなら帰るのだが。(Qなぜ帰りたいの?)自分の生まれた国だからさ」(アケールさん)

 世界で400万人いるといわれるイラク難民。安心して帰れる日は来るのでしょうか。(04日17:48)

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