民主党の代表選挙は熾烈を極めている。9月1日の公示日に行なわれた菅直人首相と小沢一郎前幹事長の共同会見の冒頭で、菅氏は「クリ-ンでオープンな民主党をつくっていきたい。私の出馬は1976年、ロッキード事件を受けた選挙だった。政治にお金のことがまつわるような、古い政治からぜひ脱却しなければならない」と述べた。
一方、小沢氏は2日の日本記者クラブ主催の公開討論会での質疑応答で「田中(角栄・元首相)先生、金丸(信・元自民党副総裁)先生は私の政治指導者であり、こよなく好きだし尊敬している。継承する部分とそうでない部分とは当然ある。継承すべきでない点は反面教師としている」と答えた。
先月末まで永田町関係者の間では、小沢氏の代表選出馬を疑問視する向きが少なくなかった。かくいう筆者もギリギリまで出馬せずとの見通しを持っていた。だが、今にして思えばやはり、小沢氏にとって田中角栄という政治家の呪縛から逃れられない、というよりも田中角栄の歩んだ道を踏襲することに重きを置き、出馬を決断したのではないか。
田中元首相は、菅氏が言及したロッキード事件により東京地特捜部に76年7月に逮捕されたが、公判が始まる直前の同年12月第34回総選挙で23万票という大量得票で再選を果たした。
それをもって"禊"は終えたとして、その後は刑事被告人でありながら自民党最大派閥・田中軍団を率いる「闇将軍」として、福田赳夫、大平正芳、鈴木善幸、中曽根康弘政権までの約11年間権勢を誇った。
実は小沢氏もこの故事に倣い、民主党代表選で菅氏を圧倒し、自らに懸けられた「政治とカネ」疑惑を払拭したいと、出馬を決断したのではないか。
取り分け、国会議員票での圧倒だけでなく党員・サポーターでも菅氏を上回ることで民意も獲得したと説明したいのだろう。現時点では、「国会議員票=小沢優勢、地方議員票=互角、党員・サポーター票=菅優勢」が相場観となっているが、全体では「小沢優勢」で揺るがない。
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