さくらインターネットでは、先日より「さくらのVPS」を提供開始し、予想を上回る大ヒットサービスとなっています。
特徴を言い始めるとキリがありませんが、国内の格安VPSとしては初めてKVMの完全仮想化を実現し、インストールできるOSの可能性は大きく広がっていることも大きな特徴の一つでしょう。
そのようなことから、近日中にも、Ubuntu、Debian、Fedora、FreeBSDなどの様々なOSを、コンパネ上から自由にインストーラーを起動できるように準備を進めております。
ただ、本日は「正式対応まで待てない!」という人のために、さくらインターネットの1ユーザとしての立場からFreeBSDのインストールを試した際の作業メモを公開します。
なお、完全に無保証ですし、あくまでも1ユーザ(ちゃんと自分で支払ってますよ)としての立ち位置でのメモですので、くれぐれもサポートなどに問い合わせを頂かないよう理解頂ければ幸いです。
それでははじめていきましょう。
手順は、スワップパーティションを削除してFreeBSDのインストールイメージを展開し、GRUBからインストーラーを起動し、インストールを行うというものです。
- 設定情報をメモする インストールを開始するにあたり、まず設定情報をメモします。 必要なのは、ホスト名、デフォルトルーター、IPアドレス、ネットマスク、ネームサーバです。
- OSを初期状態に戻す
- スワップパーティションを削除
- スワップパーティション跡にOSのインストールイメージを展開
- GRUBを変更
- VNC(リモートデスクトップ)を起動
- 再起動してインストーラーを起動
- 通常通りにインストールを行う
- 無事インストール完了!
ホスト名 | www30xxu.sakura.ne.jp |
---|---|
デフォルトルータ | 59.106.176.1 |
IPアドレス | 59.106.176.xx |
ネットマスク | 255.255.254.0 |
ネームサーバ | 210.188.224.10 210.188.224.11 |
[root@www30xxu ~]# cat /etc/resolv.conf
nameserver 210.188.224.10 ← ネームサーバ
nameserver 210.188.224.11
search sakura.ne.jp
[root@www30xxu ~]# cat /etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-eth0
DEVICE=eth0
IPADDR=59.106.176.xx ← IPアドレス
NETMASK=255.255.254.0 ← ネットマスク
GATEWAY=59.106.176.1 ← デフォルトルーター
ONBOOT=yes
[root@www30xxu ~]# hostname
www30xxu.sakura.ne.jp ← ホスト名
[root@www30xxu ~]#
コンパネにログイン(会員メニューからの場合はhttps://secure.sakura.ad.jp/menu/service/?mode=S1010より)し、「OS再インストール」よりOSを初期状態に戻します。
これは必ずしも必要な作業ではありませんが、いろいろと設定変更している場合には実施したほうがよいと思います。
/etc/fstabを開いてスワップパーティションをコメントアウトし、再起動します。
/etc/fstab
LABEL=/ / ext3 defaults 1 1
LABEL=/boot /boot ext3 defaults 1 2
tmpfs /dev/shm tmpfs defaults 0 0
devpts /dev/pts devpts gid=5,mode=620 0 0
sysfs /sys sysfs defaults 0 0
proc /proc proc defaults 0 0
#LABEL=SWAP-vda3 swap swap defaults 0 0 ← ここをコメントアウト
再起動せずにswapoff -aを実行するだけでもよいかもしれませんが、再起動したほうがより安全でしょう。
スワップの削除が完了すれば、fdiskを実行してスワップパーティションをFreeBSDに変更し、もう一度再起動します。
[root@www30xxu ~]# fdisk /dev/hda
Command (m for help): t ← パーティションのシステムIDを変更
Partition number (1-4): 3 ← パーティション3を選択(旧スワップパーティション)
Hex code (type L to list codes): a5 ← パーティションをFreeBSDに変更
Changed system type of partition 3 to a5 (FreeBSD)
Command (m for help): p ← パーティション一覧を表示
Disk /dev/hda: 21.4 GB, 21474836480 bytes
255 heads, 63 sectors/track, 2610 cylinders
Units = cylinders of 16065 * 512 = 8225280 bytes
Device Boot Start End Blocks Id System
/dev/hda1 * 1 13 104391 83 Linux
/dev/hda2 14 2355 18812115 83 Linux
/dev/hda3 2356 2610 2048287+ a5 FreeBSD ← FreeBSDに変更できたのを確認
Command (m for help): w
The partition table has been altered!
Calling ioctl() to re-read partition table.
WARNING: Re-reading the partition table failed with error 16: Device or resource busy.
The kernel still uses the old table.
The new table will be used at the next reboot.
Syncing disks.
[root@www30xxu ~]# reboot ← 再起動
まずFreeBSDのインストールイメージをダウンロードします。
ここでポイントは、memstick.imgというUSBメモリインストール用イメージをダウンロードしてくるということです。
ISOファイルの場合は、一度展開して自分でディスクイメージを作る必要があります。
今回は、FreebSD 8.1のi386版をダウンロードしました。
パフォーマンスだけでいえばamd64版の方が良いかもしれませんが、メモリやハードディスクを食いますので、ケースバイケースで使い分けしてください。
[root@www30xxu ~]# wget ftp://ftp8.jp.freebsd.org/pub/FreeBSD/ISO-IMAGES-i386/8.1/FreeBSD-8.1-RELEASE-i386-memstick.img
--2010-09-04 10:17:03-- ftp://ftp8.jp.freebsd.org/pub/FreeBSD/ISO-IMAGES-i386/8.1/FreeBSD-8.1-RELEASE-i386-memstick.img
=> `FreeBSD-8.1-RELEASE-i386-memstick.img'
Resolving ftp8.jp.freebsd.org... 210.224.179.153
Connecting to ftp8.jp.freebsd.org|210.224.179.153|:21... connected.
Logging in as anonymous ... Logged in!
==> SYST ... done. ==> PWD ... done.
==> TYPE I ... done. ==> CWD /pub/FreeBSD/ISO-IMAGES-i386/8.1 ... done.
==> SIZE FreeBSD-8.1-RELEASE-i386-memstick.img ... 948244480
==> PASV ... done. ==> RETR FreeBSD-8.1-RELEASE-i386-memstick.img ... done.
Length: 948244480 (904M)
100%[================================================>] 948,244,480 9.86M/s in 96s
2010-09-04 10:18:39 (9.41 MB/s) - `FreeBSD-8.1-RELEASE-i386-memstick.img' saved [948244480]
次に、先ほどFreeBSDパーティションへ変更したhda3にインストールイメージを展開します。
[root@www30xxu ~]# dd if=FreeBSD-8.1-RELEASE-i386-memstick.img of=/dev/hda3
1852040+0 records in
1852040+0 records out
948244480 bytes (948 MB) copied, 13.4296 seconds, 70.6 MB/s
[root@www30xxu ~]#
GRUBを変更して、hda3から起動できるように設定します。
具体的には、/boot/grub/menu.lst に次の項目を追記します。
title FreeBSD Install rootnoverify (hd0,2) chainloader +1
さくらのVPSには、非公式ながらVNC機能が備わっています。
コントロールパネルにログインした状態で、以下のURLを開けばVNCウィンドウが立ち上がります。
VNCのURL: https://secure.sakura.ad.jp/vpscontrol/main/vnc
ここからは、リモートコンソール(シリアルコンソール)ではなく、VNC画面での作業が必須です。
OSを再起動し、VNC画面内でGRUBメニューを開いてインストーラーを起動します。
手順は以下の通り。
Press any key to continue. の画面で、何かキーを押す
GRUBのメニューにて、FreeBSD Installを選択する
ブートローダーが起動して、インストーラーが起動すればひとまずは成功です。
ここからは、通常のインストール手順です。
私は、Standardを選択して進めました。
FDISKが起動されると、ext2fsが2つとfreebsdが1つあるはずです。
その後、a キーを押しパーティションすべてをFreeBSDで利用します。
ここで w キーを押してパーティション情報を保存するとインストールに失敗しますので、そのまま q を押してディスクラベルエディターへ進みます。
ディスクラベルを編集します。
私は a キーを押して、自動でパートわけしました。
ここでも、w キーは押さずに次へ進みます。
インストールメディア選択では、2番目の「FTP」を選択します。
FTPサイトは、ftp8.jp.freebsd.orgを選択します。
このサイトはさくらインターネットが運営しているFreeBSD公式サイトですので、大変スムーズにダウンロードできます。
ネットワーク設定画面では、先ほどメモしたネットワーク情報を入力します。
ここで注意すべきは、ネットマスクです。255.255.255.0ではなく255.255.254.0ですので、くれぐれも間違えないようにしてください。
最終メッセージが出てくれば、インストール実行です。
これを行うと、CentOSはすべてなくなってしまいますので、十分に注意してください。
無事インストールが完了しました。
あとは、SSHでリモートログインができるように設定すれば、完了です。
なお、さくらのVPSのリモートコンソール(シリアルコンソール)機能はFreeBSDで安定しないので、シリアルコンソール設定はせずにVNCで対応頂ければ幸いです。
さくらのVPSと互換の実験環境ではWindows(XP / Vista / Server 2008)のインストールもできましたので、もしかしたら可能かもしれませんね。
※ただしWindowsのデスクトップ向けOSは仮想環境で動かせるライセンスが無いようですので、インストールして利用してしまうとライセンス違反になりますからご注意ください。
以上、FreeBSDのインストールでした。
しつこいようですが、公式にはFreeBSDは使えないことになっていますので、その点はご理解いただければ幸いです。
今後、公式なOSインストール機能も予定しており、IPアドレス逆引きや、IPv6対応、上位プラン(できればCPU占有プラン)などのアナウンスもできるかと思いますので、全ての環境をさくらのVPSでということも可能になります。
これからも、さくらインターネットおよびさくらのVPSを、どうぞよろしくお願いします。
コメント (1)
是非使いたいのですが、マルチOS化や今は無いHDD、メモリ容量増。可能ならマルチIP、帯域増量にも対応して欲しいです。
でもそれは北海道にサーバー施設できてからですかね?w 頑張って下さい。
Posted by: k+ | 2010年09月04日 12:56
日時: : 2010年09月04日 12:56