●山口組最高幹部 兵庫県警は2日、指定暴力団山口組の2次団体組長らが無免許で宅地建物取引業を営み、仲間の組長らに神戸市での別宅を販売していたなどとされる事件で、山口組若頭補佐・阪神ブロック長、山健組組長で不動産会社「東洋信用実業」(神戸市灘区)の代表取締役、井上邦雄(62)=同市中央区=と、不動産仲介会社員池本康弘(46)=同市須磨区=の両容疑者を宅建業法違反(無免許事業)の疑いで逮捕した、旨発表した。井上容疑者は容疑を認め、池本容疑者は一部否認しているという。
県警によると、この事件の逮捕者は2次団体組長7人を含む計9人になった。山健組は構成員約4000人で、山口組最大の2次団体。
捜査関係者によると、篠田建市(通称・司忍(つかさ・しのぶ)・山口組6代目組長が、組員に拳銃を持たせたとされる銃刀法違反の罪が確定して収監された直後の06年1月から、2次団体組長らが神戸市内に別宅を次々に構えるようになったという。
●神戸新聞配信記事 神戸新聞は2日、
「免許なくマンションを売買 山口組幹部ら逮捕」という見出しで次の記事を配信した。
無免許で不動産を売買するなどしたとして、兵庫県警暴力団対策課などは2日、宅地建物取引業法違反の疑いで指定暴力団山口組系組長で、同組の不動産を管理する「東洋信用実業」役員江口健治容疑者(57)=大阪市=ら3人を、詐欺の疑いで同組系組長富田丈夫容疑者(67)=静岡県浜松市=ら4人を逮捕した。「東洋‐」代表取締役で、直系組織「山健組」組長井上邦雄容疑者(62)ら2人についても同法違反容疑などで逮捕状を取り、行方を追っている。
同課が逮捕した7人のうち6人は、山口組の幹部にあたる直系組長で、こうした人数の一斉逮捕は異例。同課などは同日午前、神戸市灘区の同組総本部などにも捜索に入った。
ほかに逮捕されたのは、山口組系組長森尾卯太男(57)=鳥取県米子市▽同光安克明(50)=神戸市灘区▽同田中三次(55)=熊本市▽同浜田重正(62)=横浜市▽元山口組系組長清田隆紀(45)=長崎市‐の各容疑者。
捜査関係者によると、江口容疑者ら3人の逮捕容疑は2月、東洋信用実業が神戸市北区内に買った複数のマンションを、県知事の許可を受けずに直系組長に売った疑い。富田容疑者ら4人の逮捕容疑は2月、マンション売買に使う口座を、暴力団であることを隠して開設した疑い。
全国の銀行では、犯罪に利用される恐れがあるとして暴力団員の口座開設を拒否している。売買されたマンションは、県外の直系組長が総本部に通う拠点に使っていたという。
午前9時ごろに始まった山口組総本部の捜索は、機動隊員が門前に並び、物々しい雰囲気となったが、大きな混乱はなく、約40分間で終わった。
●神戸新聞配信記事 神戸新聞は2日、
「6代目組長の出所にらみ 取り締まり強化」という見出しで次の記事を配信した。
兵庫県警が山口組幹部らの一斉逮捕に踏み切った背景には、来年4月の篠田建市(通称・司忍)6代目組長(68)=収監中=の出所をにらみ、全国の警察当局が山口組への取り締まりを強化していることに加え、県暴力団排除条例の施行を目指していることもある。
今年上半期に全国で逮捕された直系組長は12人で、前年同期に比べて9人多い。7月以降も直系組長の逮捕が相次いでいる。篠田組長の出所が近づく中、集中取り締まりで山口組に揺さぶりをかけ、弱体化を図る狙いがあるという。
また、兵庫県警の場合、県暴力団排除条例の来春施行を目指しており、制定を前に、徹底的に取り締まる姿勢を強く示した格好だ。
山口組は組織固めのため、全国の直系組長を総本部に呼び集めており、総本部に通うための足場として、兵庫県外の直系組長が神戸市内に約30カ所の拠点を設けているとされる。今回、無許可で売買したとされるのも、こうした拠点施設のマンション。同条例は全国で初めて、こうした拠点も規制対象とする方針だ。
●本紙のコメント「山口組には「直参(じきさん)」と称する2次団体組長が85人いるが、7人が一斉に逮捕されるのは異例。来年4月の6代目組長の出所をにらんだ 取り締まり強化策と見られる」