東京労働局の管内で過労死や過労自殺などで亡くなったり、体調を崩した72人の勤務先72社のうち、93%の67社で、何らかの法令違反があったことが、同局の昨年度の監督指導で分かった。健康管理のずさんさも目立ち、19社(26%)は発症前の1年間に健康診断を受診させず、22社(31%)は診断で症状が見つかっても勤務を減らすなどの措置を講じていなかったという。
72人の内訳は、過労死が19人、過労自殺が7人など。管理職は72人中19人、役職のない一般労働者は53人。一般労働者で被害が多かった業種は、営業・販売8人▽技術職7人▽施工監理、設計・デザイン各6人▽調理師、システムエンジニア各5人--など。
東京労働局の監督指導によると、労使の協定範囲を超えた時間外労働など労働時間の違反が50社(69%)で見つかり、最多だった。72人のうち44人が健康診断を受け、32人に異変が見つかっていたが、勤務軽減や保健指導など事後措置を受けたのは10人だけだった。
昨年の都内の労働者1人当たりの年間総労働時間は1789時間。前年より65時間減ったが、正社員では長く、非正規・パートでは短くなる傾向があり、長短の2極化が進んでいるという。【石川隆宣】
毎日新聞 2010年9月3日 地方版