4年後のワールドカップブラジル大会に向けてスタートする新生・日本代表が2日、日本サッカー協会の原博実技術委員長が監督代行で指揮を執る中、横浜市内で始動した。主力組に8人の欧州組を並べたメンバー構成で練習するなど、4日のパラグアイ戦に向けて調整した。就任3日目のアルベルト・ザッケローニ新監督は終始スタンドから視察。じっくり観察しながら選手を見極める方針だ。日本代表はパラグアイ戦の後、7日にグアテマラ代表と大阪・長居で対戦する。
イタリア人指揮官が「観察魔」に変身した。原博実監督代行が指示する初練習を、スタンド最上段の観覧席で見守ったザッケローニ監督は一切の指示を封印。選手の動き、プレー、表情を観察することに撤した。メモを取りながら同席した大仁副会長に何度も質問するなど興味津々。選手名、プレーの質やスタイル、リーダーシップなどピッチ上のあらゆる要素について「外から見て勉強している最中」と語った。
原監督代行に対し、同監督は「誰を使えとは言わない」と静かに見守る姿勢をあらためて伝えたという。パラグアイ戦についても「それは原さんに聞かないといけません」と小さく笑みを浮かべ、就労ビザの取得が間に合わなかった今シリーズに限っては“沈黙”方針を貫く考えだ。
ただ、黙してばかりではない。朝昼食の時間設定や代表合宿期間中の基本ルールに関して原監督代行を質問攻めにした。門限が設けられていないことを知ると、同監督は「選手は遅くまで遊んでいいのか?」とイタリアとの習慣の相違に驚いた様子だったという。ピッチ内外で早期適応を図ろうと、ニッポンの“文化”を勉強する意欲的な日々。指揮官の前向きな姿勢に、長谷部は「僕たち選手もサポートしないといけない」と呼応した。
運命の始動日。ザッケローニ監督は練習前に初のミーティングを開いた。W杯の激戦を労をねぎらった上で、「W杯の1ページは片付けて新しいページを書こう。いいストーリーをつくっていきたい」と呼び掛け、代表選手としての誇り、戦う姿勢を強調した。ピッチには立たずとも、やるべきことは重々承知。イタリアで一時代を築いた名将に率いられ、新生「ザックJAPAN」が船出した。 (松岡祐司)
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