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〈裁判員法廷〉米原・汚水槽殺人

2010年09月04日

【1カ月異例の審理/地裁 評議期日公表せず】

 米原市で昨年6月、汚水槽から会社員女性(当時28)の遺体が見つかった事件の裁判員裁判は3日、選任手続きから判決まで1カ月に及ぶ異例の長期裁判になることが決まった。殺人の罪に問われた会社員森田繁成被告(41)=同市坂口=は無実を訴え、犯行と直接結びつける証拠はない。初公判は11月4日。裁判員は長く難しい審理とどう向き合うのか。(大西英正、堀川勝元)

【11月2日選任手続き 12月2日判決】

 この日は9回目となる公判前整理手続きが大津地裁であり、裁判の期日が決まった。11月2日に裁判員の選任手続きを行い、4、5、10〜12、15〜18、22日の計10日間にわたり審理。12月2日の判決言い渡しまでに評議する。

 関西では前例のない大型否認事件の裁判員裁判を前に、関係する法曹三者の口は一様に堅い。

 地裁は「評議の期日は公表できない」とし、公表できない理由も明らかにしていない。そのため、裁判員が実際に何日間出頭する必要があるのかも不明だ。これまでは手続き終了後に報道陣の取材に応じていた弁護人も、裏口から地裁を後にした。大津地検もコメントしなかった。

 起訴状によると、森田被告は昨年6月10日夜〜11日未明、交際相手の会社員小川典子さんの頭を鈍器のようなもので何度も殴って瀕死(ひん・し)の重傷を負わせ、汚水槽に落とし窒息死させたとされる。だが、森田被告は捜査段階から「身に覚えがない」と起訴内容を一貫して否認している。

 犯行の目撃証言など直接的な証拠はなく、検察側は森田被告の車のタイヤ内側のブレーキドラムや、洗濯済みの車の助手席のマットから見つかった血痕が小川さんのDNA型と一致したことなど、間接的な証拠を積み重ねて立証する方針だ。だが、断片的な事実を総合しても被告のすべての行動はわからず、こうしたケースはプロの裁判官でも判断が難しいとされる。

 昨年10月に外国人グループの強盗致傷事件で裁判員を務めた大津市の桐畑正義さん(66)は「今回の裁判は精神的にも肉体的にもきつく、大津から離れた所に住む人や仕事を持っている人は大変だ。裁判員を辞退する人も増えるだろう」と予想する。新たに選ばれる裁判員には「難しい判断を迫られ、かなり疲れると思うが、先入観を持たずに真っ白な心で裁判に臨んでほしい」と語った。

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