時折にらみ「私は無罪」押尾被告全面対決
合成麻薬MDMAを一緒に飲んだ女性の容体が急変し、死亡させたとして保護責任者遺棄致死、麻薬取締法違反(譲り受け、譲渡、所持)の罪に問われた、俳優押尾学被告(32)の裁判員裁判初公判が3日、東京地裁で行われた。白髪交じりのロン毛頭で法廷に立った同被告は「私は無罪です」とはっきりした口調で言った。時折にらむような険しい視線で裁判官や検察官に視線を送り、検察側の証拠調べの最中は何度もメモを取った。MDMAの女性への譲渡、遺棄致死罪を否認し、検察側と全面対決の意思を示した。第2回公判は6日に行われる。
昨年12月9日の逮捕から9カ月…。拘置され続けた疲労と苦痛が、押尾被告の全身からにじみ出ていた。うなじが隠れるほど長い髪には、白髪が何本も交じっていた。拘置所内で筋力トレーニングに励んでいるという話もあったが、肩幅は狭く胸板も薄くやつれていた。ただ刺すような鋭い視線は、昔のままだった。
同被告は3月に懲役1年の実刑判決を受けた泉田勇介受刑者から、MDMAを受け取ったことは認めたが、検察側が主張した錠剤10錠ではなく粉末だと断言。被害者の田中香織さん(享年30)と飲んだMDMAは「田中さんが持ってきたもの。譲渡したことはなく無罪です」と言い切った。検察側が昨年8月2日午後6時47分から、同53分とした死亡推定時刻も「もっと早い時刻」と否定した。
2度のセックス後、同5時50分ごろに起きた田中さんの異変についても「ブツブツ独り言を言ったので『大丈夫か?』と声をかけると普通に答えてくれた。数分から10分続いた後、あおむけに倒れてしまった。息していないし脈も止まっていた」と容体が急変したと強調。「人工呼吸や心臓マッサージをしたが蘇生(そせい)できなかったので救急車を呼ばなかった。私は無罪です」と主張した。
冒頭陳述中は、終始うつむき加減で静かに話を聞いていた。長期間拘留されていたためか音に敏感で、報道陣が出入りするわずかな音に反応し、にらみつけるような視線を送った。
検察側の証拠調べに入ると急に意欲を見せた。現場のマンションの救命体制や警備体制、救命措置の方法などが説明されると、左隣にいる弁護士の前のモニターに身を乗り出して見詰め、A4サイズ程度のノートに一心不乱にメモした。メモは1時間強の間で6回に及んだ。8月7日発売の雑誌「エッジ・スタイル」(双葉社)で、50ページにわたる「獄中ノート」を公開し心情を吐露しており、13日の第6回公判での被告人質問に備え、気になるポイントを書いたのかもしれない。
また弁護士が冒頭陳述で「長時間、威圧的な取り調べを受け、任意じゃない供述調書をつくられた」と訴えると、検察官へ厳しい視線を送った。弁護側の証拠調べでも、田中さんに送った「来たらすぐいる?」というメールが男女間の愛情表現であること、田中さんから「新作の上物のクスリがある」と連絡があったことが提示されると、安心した様子だった。6日の第2回公判後、14日の第7回公判で結審し17日に判決の予定だが、初日から並々ならぬ姿勢を示した。
[2010年9月4日15時9分 紙面から]
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