米アップルは1日、携帯音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」シリーズの全面刷新を発表した。日本国内ではソニーの携帯音楽プレーヤー「ウォークマン」の販売シェアが8月、アイポッドを逆転し首位に立ったばかりだが、ソニーとしては再びアップルの攻勢を受けることになりそうだ。【弘田恭子】
国内の携帯音楽プレーヤーの市場は、01年に登場したアイポッドが席巻し、抜群のブランド力を持つソニーのウォークマンも後を追うしかない展開が続いた。ただ、最近は、価格が主力機種で2割程度安く、「音楽専用プレーヤー」として音質向上を図ったウォークマンの支持が広がっていた。調査会社BCNによると、日本では8月、携帯音楽プレーヤーの月間販売でソニーのウォークマンがアイポッドを逆転し、01年11月の調査開始以来、初めて首位に立った。
これに対し、アップルが発表した新たな「iPodナノ」は、従来品より約半分に小型・軽量化し、画面に触れて操作するタッチパネルを搭載するなど全面的に刷新。世界的にはアイポッドが圧倒的にシェアを確保していると見られている中、「ユニークな製品ばかりのアイポッドが日本で9月に再逆転するのは確実」(BCNの道越一郎アナリスト)との見方もあり、ソニーとしても楽観できない状況だ。
また、両社はソフトの配信で差がある。アップルはアイポッドや「iPad(アイパッド)」などへの配信サイトを統一し、1400万曲以上の楽曲や6万5000本以上のテレビ番組などがそろう。利用者はさまざまなサイトでソフトを探す必要がなく、使いやすさとソフトの豊富さが人気を支える。
ソニーは、ウォークマンやゲーム機など製品によって配信サイトが異なり、ソフト数もアップルに劣る。ソニーは2日、テレビやパソコン向けに新たな音楽配信を始めると発表したが、既存の配信サービスとの統合やソフト充実がアップルに対抗するための課題だ。
毎日新聞 2010年9月2日 21時36分(最終更新 9月2日 23時44分)