新メニュー「牛鍋丼」に託した吉野家の“280円戦略”
nikkei TRENDYnet 9月3日(金)11時14分配信
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吉野家は2010年9月7日(火)10時、“戦略新商品”として「牛鍋丼」を発売する。 |
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牛鍋丼は、牛肉、タマネギ、豆腐、しらたきを甘辛く煮込んでごはんにかけたもの。「明治・大正時代に、牛肉や野菜、豆腐などを甘辛く煮込んだ『牛鍋』の具をごはんに乗せたのが、牛丼の始まり。『牛鍋丼』はその原点に立ち返った“復刻版”商品」(吉野家・安部修仁社長)だという。
「280円」という価格ありきだった
注目は価格だ。並盛で280円と、同社の牛丼(並盛、380円)に比べて100円も安い。「時代のニーズに応えた価格設定」(安部社長)だという。
商品発表会で安部社長がことさら強調していたのが、「来店客数」と「売り上げ」だ。同社は外食を控える傾向の強まりに加え、牛丼各社の値下げによる顧客争奪戦で客数を落とした。そこで、「客数、売り上げ向上に対する効率性や即効性を見据え、まず商品開発の目標設定に『280円』を掲げた」という。
しかし、なぜ「280円」なのか。
ライバルであるすき家の牛丼(並盛)が280円、松屋の牛めし(並盛)が320円なので、それらに対抗する価格設定ともいえる。「牛丼=200円台」というイメージが浸透しているなか、同社は「牛丼の値下げは客数が増えても利益が出ないからしない」(安部社長)という。ただ、そうなると“200円台牛丼”を求める消費者は、吉野家から離れてしまう。そこで牛丼とは別に、利益を取れる200円台の商品を用意することで、そのカテゴリーにも踏みとどまりたいということだろう。
10月7日には、同じく280円で「牛キムチクッパ」も発売する。これら“280円商品”プロジェクトは、「客数、売り上げ向上のための第1段階の緊急策」(安部社長)。吉野家ホールディングス・安部社長が吉野家社長を兼務して現場の陣頭指揮を執り始めた4月からスタートし、テスト販売を経て約5カ月で商品化となった。
果たして、その「牛鍋丼」はどのようなものなのだろうか。
生玉子を加えて「すきやき丼」がおすすめ
まず運ばれて来たときの印象は、「ちょっと小さい気がする」。直径が牛丼より3ミリ短い専用のどんぶりを使っているという。見た目は牛丼に似ているが、よく見ると豆腐としらたきが目に付く(特にしらたきが幅を利かせている)。牛肉の量は52gと牛丼(67g)より少なく、ごはんも230gと牛丼(260g)より少ない。
具の種類は牛丼の具(牛肉、タマネギ)と豆腐、しらたき。食べてみると、牛丼に比べると味が濃いという印象。そして、たしかに甘辛い。以前のメニューで人気のあった「牛すき鍋」の味がベースになっているという。
「牛肉の代わりにしらたきを食べている」と思うと悲しくなるが、「これこそ牛丼の原点!」と、その歴史を噛みしめるのもよい。また、肉は薄いものの、手ごろな価格ですきやき丼が食べられると考えれば、お得な気もする(生玉子を加えても350円)。「昼食は300円前後で済ませたい」と、牛丼ばかり食べている人には新味のある選択肢になるだろう。
(文/山下 奉仁=日経トレンディネット)
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最終更新:9月3日(金)17時59分