08/10/22
皆さん、こんにちは。

谷大二司教講演の検討を続けます。
「目的効果基準」ということが話されました。ここのところは特に発音語尾が聞き取りにくく、私は谷司教へ返信封筒まで同封して文言を明確にして下さるようお願いしているのですが、現在、返事を頂いておりません。残念なことです。私は谷司教が「カトリック教会司教」の立場で、教会の公式行事の中で語られた言葉ですから、公開することに何の後ろめたさも感じません。しかし同じ講師でも、山本浄邦氏や笠松健一氏の言葉を丸々紹介しようとは思いません。それだけの興味もありません。弁護士の笠松さんについては後日別途触れますが、発言の主旨についてではありません。

・・・これは最近最高裁の判決文の判断基準として使われるようになっています?(発音不明瞭)。
これは元々アメリカのレーモン法と言われている判断基準から来ているんですね。
そこには目的と効果、そして特定の宗教団体に偏らない、こうした三つの条件が(*****)され、(*****)、ところが日本の最高裁などではこの三つ目の「特定の宗教団体に偏らない」というところを省いてしまって、前半の二つだけを使って目的効果基準という風に言っている訳です。

インターネットで調べてみますと、
=[金融そして時々山]2006.06.28=
http://kitanotabibito.blog.ocn.ne.jp/kinyuu/2006/06/post_95c5.html
というページに、次のようなまとめがあります。(段落番号は野村が付設)

連邦最高裁の判決の内、政府と宗教の係わり合いについて述べた重要な判決がある。それは1971年の Lemon V. Kurtzman 判決で要点は以下のとおりだ。

  1. 政府の活動は世俗的(非宗教的)目的を持つものでなくてはいけない。
    the government action must have a secular purpose

  2. 政府の主な目的が宗教を禁止したり、助長するものであってはならない。
    its primary purpose must not be to inhibit or to advance religion

  3. 政府と宗教の過度の係わり合いがあってはならない。

私は“レモンテスト”原資料を知りません。谷司教のおっしゃる“三つの条件”がこのことなのか、分かりません。
谷司教は次のように語ります。

ところが自民党の新憲法草案ではどうなっているかと言えば、(中略)、社会的儀礼、習俗的行為と言えば、何でも通用するよと言うことなのです。

谷司教は憲法20条第2項の、
「何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。」
をどう評価されるのでしょうか。第2項は現行通り残されます。それが信じられないとおっしゃるなら、そもそも「憲法」を“支え”にする根拠が消えます。

だから総理大臣が靖国参拝する、今は少なくとも違憲判決しか出ていないんですけども、これは社会的行事です、儀式です、国民的な儀礼なんです、いう風に言われてしまうと、それは判断基準がなくなって、それはもうやってもよろしいと(*****)ってしまう恐れがありますね。

総理大臣の靖国参拝で『違憲判決』は出ていません。
「判決」とは『主文』です。それ以外にありません。『主文』において総理の靖国参拝が憲法違反とされた例はありません。原告主張はことごとく退けられています。すべて「原告敗訴」です。そして、「日本国憲法第81条」は、
『最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。』
つまり憲法によれば、ある行為が憲法に準じているか違反しているかの最終判定は、最高裁判所にその権限があります。そして最高裁判所は違憲であるとの判決をしていません。(→)
谷司教のこの発言は、ウソであります。
 

いわゆる『靖国参拝違憲訴訟』、裁判結果

主な出典は、[判例検索システム]
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0010?action_id=first&hanreiSrchKbn=01
によります。

 

 

事件番号 平成13(ワ)11468の1
事件名 靖国参拝違憲確認請求事件
裁判年月日 平成16年02月27日
裁判所名・部 大阪地方裁判所 第3民事部
平成13年(ワ)第11468号の1

主 文

  1. 原告a,原告b,原告c,原告d及び原告eの被告らに対する靖國神社参拝の違憲確認請求に係る訴え並びに被告内閣総理大臣小泉純一郎に対する靖國神社参拝の差止請求に係る訴えをいずれも却下する。

  2. 原告a,原告b,原告c,原告d及び原告eのその余の請求並びにその余の原告らの請求をいずれも棄却する。

  3. 訴訟費用は原告らの負担とする。

 

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松山地裁 平成16年03月16日判決
平成13年(ワ)第954号・靖国参拝違憲確認等請求事件

一部却下、一部棄却(控訴)
〔首相の靖国神社参拝・国賠法1条−違憲確認・差止め・損害賠償/松山第一審〕

主 文

  1. 原告専念寺,同宗教法人福善寺,同A及び同Bの,被告らに対する被告小泉純一郎が平成13年8月13日にした靖國神社参拝の違憲確認請求に係る訴え,被告内閣総理大臣に対する靖國神社参拝差止請求に係る訴え及び被告靖國神社に対する被告内閣総理大臣による靖國神社参拝受入差止請求に係る訴えをいずれも却下する。

  2. 原告A及び同Bのその余の請求をいずれも棄却する。

  3. 原告専念寺,同宗教法人福善寺,同A及び同Bを除く原告らの請求をいずれも棄却する。

  4. 訴訟費用は原告らの負担とする。

 

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福岡地裁 平成16年4月7日判決言渡し 同日原本交付 裁判所書記官
平成13年(ワ)第3932号 損害賠償等請求事件
判決  当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり

主 文

  1. 原告らの請求をいずれも棄却する。

  2. 訴訟費用は原告らの負担とする。

 

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事件番号 平成15(ワ)1307
事件名 損害賠償請求事件
裁判年月日 平成16年05月13日
裁判所名・部 大阪地方裁判所 第23民事部

主 文

  1. 原告らの請求をいずれも棄却する。

  2. 訴訟費用は原告らの負担とする。

 

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事件番号 平成13(ワ)2870
事件名 損害賠償請求事件
裁判年月日 平成16年11月25日
裁判所名・部 千葉地方裁判所
平成16年11月25日判決言渡
平成13年(ワ)第2870号 損害賠償請求事件(以下「甲事件」という。)
平成14年(ワ)第385号 損害賠償請求事件(以下「乙事件」という。)

判 決
主 文

  1. 甲事件原告ら及び乙事件原告らの請求をいずれも棄却する。

  2. 訴訟費用は,甲事件原告ら及び乙事件原告らの負担とする。

 

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事件番号 平成14(ワ)959
事件名 損害賠償請求事件
裁判年月日 平成17年01月28日
裁判所名・部 那覇地方裁判所
平成14年(ワ)第959号 損害賠償請求事件
平成15年(ワ)第1274号 損害賠償請求事件

判 決
主 文

  1. 原告らの請求をいずれも棄却する。

  2. 訴訟費用は原告らの負担とする。

 

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*東京地裁判決 05年4月26日(柴田寛之裁判長)
「参拝による権利侵害は認められない」と賠償請求を却下。
(判決文原典発見できず)

 

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*大阪高裁判決(一次) 05年7月26日(大出晃之裁判長)
原告の請求を退けた大阪地裁判決を支持し、原告側の控訴を棄却した。
(判決文原典発見できず)

 

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事件番号 平成16(ネ)6328
事件名 各損害賠償等請求
裁判年月日 平成17年09月29日
裁判所名・部 東京高等裁判所 第21民事部
原審裁判所名 千葉地方裁判所
原審事件番号 平成13(ワ)2870

主 文

  1. 本件各控訴をいずれも棄却する。

  2. 控訴費用は控訴人らの負担とする。

 

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事件番号 平成16(ネ)1888
事件名 損害賠償請求控訴事件
裁判年月日 平成17年09月30日
裁判所名・部 大阪高等裁判所 第13民事部
原審裁判所名 大阪地方裁判所
原審事件番号 平成15(ワ)1307

主 文

  1. 本件控訴を棄却する。

  2. 控訴費用は,控訴人らの負担とする。

 

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平成16年(ネ)第214号靖国参拝違憲確認等請求控訴事件
 (原審・高松地方裁判所 平成13年(ワ)第954号[A事件])
平成16年(ネ)第215号靖国参拝違憲確認等請求控訴事件
 (原審・高松地方裁判所 平成14年(ワ)第114号[B事件])
平成16年(ネ)第216号靖国参拝違憲確認等請求控訴事件
 (原審・高松地方裁判所 平成14年(ワ)第668号[C事件])
平成16年(ネ)第217号損害賠償請求控訴事件
 (原審・高松地方裁判所 平成15年(ワ)第218号[D事件])
口頭弁論最終の日・平成17年6月13日
高松高等裁判所第2部
平成17年10月5日

判 決
主 文

  1. 本件各控訴をいずれも棄却する。

  2. 控訴費用は、A事件ないしD事件を通じて控訴人らの負担とする。

 

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事件番号 平成16年(ワ)第435号
事件名 靖国参拝損害賠償請求事件
裁判年月日 平成18年03月15日
裁判所名・部 松山地方裁判所 民事部

判 決
主 文

  1. 原告らの請求をいずれも棄却する。

  2. 訴訟費用は原告らの負担とする。

 

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=最高裁判所=

平成17(受)2184
事件名 靖国参拝違憲確認等請求事件
裁判年月日 平成18年06月23日
法廷名 最高裁判所第二小法廷
裁判種別 判決
結果 棄却
原審裁判所名 大阪高等裁判所
原審事件番号 平成16(ネ)1814
原審裁判年月日 平成17年07月26日

主 文

  1. 本件上告を棄却する。

  2. 上告費用は上告人らの負担とする。

 

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