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第2章 統一教会の救済観の問題点

【27】 統一教会の救済論の重点は、「義認」より「聖化」

 統一教会では、キリスト教が説く「救い」の二つの側面である「義認」と「聖化」は、本来メシヤであるイエスが到来したその時代に、両方とも同時に成就すべきであったとみているのです。

 そして統一教会は、キリスト教が長い間待ち望んできた「再臨」の時が“到来した”ことを宣言し、今こそ「完全な救い」、つまり「実体の救済=人格の完成=聖化の完成」を成就することができる“成約の時代”に入ったことを強調してきたのです。

  そうすると、「統一教会の救済論」が、キリスト教のそれと大きく異なる重要な点、つまり、統一教会が“キリスト教を超えたものであるとする最も重要な神学的メッセージ”とは、従来のキリスト教型の「法廷論的贖罪(義認)」ではなく、まさに「霊肉共の救い」を意味する「聖化の完成」、即ち「人格完成と家庭完成による地上天国の実現」に他ならないのです。

■ 「肉的原罪の清算」としての「肉的救い」
しかし、統一教会には「霊肉共の救い」の「肉的救い」について、単に“アダムとエバの犯した「肉的堕落」行為に対する法廷論的贖罪”と捉え、その「贖罪(恩寵)」を受け取ること、即ち「肉的原罪の清算としてのサクラメント(三日行事)」に参加することをもって、「肉的救済が完了した」と捉える見解もあるようですが…「聖酒式」は霊的原罪の清算とみる…、そのような考え方は、文先生の語られる「救済論」の全体を正しく評価しない、極めて偏った見解であると言えるでしょう。

【文先生の御言】
「神様の祝福を受ける人は、どのような位置に立った人ですか。神様の愛の根から生まれていなければならないのです。本然の父母から生まれて成熟したならば、その本然の父母から祝福を受けて、宇宙を相続する立場に立つのが祝福です。
  皆さんはそういう位置に立ちましたか。統一教会にそのような基盤がありますか。祝福を受けた人たち、手を挙げて見なさい! 皆さんが置かれている今の位置は、祝福を受けたものとしての位置ではありません。祝福の本然の世界を求めていくための条件基盤なのです。三十六家庭であろうと、何であろうと皆同じです。」(『祝福』67号 祝福を受けたもの達 55頁 )

 まさに「聖化」の成就こそ、復帰原理的観点の『御言』の中で強調されている、「信仰基台と実体基台」を通して、「メシヤのための基台」を造成しながら、成長期間を上り直すことであり、「心情の縦的八段階」を上がっていくことであり、「四大心情圏と三大王権」を獲得し、「創造本然の完成人間になる」ことに他なりません。

 また、「伝道」「ホームチャーチ」、「3人の霊の子を作る」「アベル・カイン問題に勝利する」「堕落性を脱ぐための蕩減条件を立てる」「恩讐を愛する」「為に生きる」などといった、信仰生活における実践的内容は、全て、実体の人格と心情の成長をもたらす「聖化」そのものの概念であり、「霊肉共の救いを完成して、創造本然の実体を復帰することに他なりません。それは決して単なる、過去の犯した罪に対する法廷論的な「贖罪(義認)」ということではないのです。

 

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救済論の問題点 目次
はじめに
第1章 統一教会における教典問題
【1】統一教会の「教理」と『原理講論』
【2】『原理講論』の“教典的位置”としての問題点
【3】『統一神学』の問題点
【4】『統一思想』の問題点
【5】「統一教会の教理」に関するその他の「解説書」
【6】文先生の『御言』の中にある「最終的真理」
 
第2章 統一教会の救済観の問題点
【1】「霊肉共の救い」を主張した統一教会
【2】統一教会の主流的救済観─「法廷論的贖罪観」の問題点
【3】「法廷論的贖罪観」が強調されるようになった経緯
【4】「法廷論的贖罪観」の強調は、“反対牧師対策”がその背景。
【5】「法廷論的贖罪観」の問題点。
【6】統一教会内にあった「二つの見解」
【7】「実存と法廷的評価」の分離は「キリスト教型の救済観」
【8】「罪」と「堕落性」の関係
【9】「罪と堕落性」という“対比の仕方”の問題点
【10】「堕落性本性」の内容と「罪」との関係
【11】「性質としての罪」の概念
 
【12】「堕落性」という言葉
【13】 「思い」や「性質」は“罪ではない”と主張する統一教会
【14】 「堕落性と罪」のより適切な対比表現
【15】 キリスト教における「堕落性と罪」の概念
【16】 「原罪」ついての二つの捉え方
【17】 人類始祖の犯罪行為としての「原罪」概念の問題点
【18】 「神の血統」の真の意味
【19】 「淫行関係」と「血縁関係」の概念の混乱
【20】 「罪の遺伝(転嫁)」とは?
【21】 「法廷論的贖罪観」の論理的問題点
【22】 もう一つの救済観─「生物学的血統転換論」の問題点
【23】 統一教会に混在する「二つの救済観」
【24】 『御言』にみる「正しい血統的転換論」
【25】 「心の遺伝」
【26】 「救済論」における「義認」と「聖化」
【27】 統一教会の救済論の重点は、「義認」より「聖化」
【28】 「義認と聖化」は“同時的”に実現
【29】 「罪と堕落性」「義認と聖化」からみた「イスラエル(選民圏)の変遷」
【30】 統一教会の本来の目的は「聖化」の完成
【31】 「第三イスラエル」としての統一教会と「第四イスラエル」時代の到来
あとがき