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第2章 統一教会の救済観の問題点

【24】 『御言』にみる「正しい血統的転換論」

 このように、様々な検討をしてくると、『御言』にみる「正しい血統的転換」とは、現在の統一教会において主流的見解となっている「法廷論的贖罪観」でも、「肉的生物学的血統転換論」でもないことがはっきりと分かってきます。

 

 それは結論として、両者とは全く異なった次元における心情的血統転換」であるということができるでしょう。今後、統一教会の中で人為的、対策的に作り上げられた理論ではなく、文先生の直接の『御言』に基づく「心情的な血統観」を中心としなければ、神の救済摂理を根本的に合理的なものとして理解することは、一層困難なものとなってくるでしょう。

 

 キリスト教界において、様々な神学的見解が歴史的に乱立し、未だ教派間の対立を引き起こす深刻な要因となっているように、現在の統一教会においても、文先生の『御言』に明確な根拠を持たない様々な「救済観」が乱立し、まさに統一信徒は教学的な混迷状態の中に置かれていると言っても過言ではないでしょう。

 

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救済論の問題点 目次
はじめに
第1章 統一教会における教典問題
【1】統一教会の「教理」と『原理講論』
【2】『原理講論』の“教典的位置”としての問題点
【3】『統一神学』の問題点
【4】『統一思想』の問題点
【5】「統一教会の教理」に関するその他の「解説書」
【6】文先生の『御言』の中にある「最終的真理」
 
第2章 統一教会の救済観の問題点
【1】「霊肉共の救い」を主張した統一教会
【2】統一教会の主流的救済観─「法廷論的贖罪観」の問題点
【3】「法廷論的贖罪観」が強調されるようになった経緯
【4】「法廷論的贖罪観」の強調は、“反対牧師対策”がその背景。
【5】「法廷論的贖罪観」の問題点。
【6】統一教会内にあった「二つの見解」
【7】「実存と法廷的評価」の分離は「キリスト教型の救済観」
【8】「罪」と「堕落性」の関係
【9】「罪と堕落性」という“対比の仕方”の問題点
【10】「堕落性本性」の内容と「罪」との関係
【11】「性質としての罪」の概念
 
【12】「堕落性」という言葉
【13】 「思い」や「性質」は“罪ではない”と主張する統一教会
【14】 「堕落性と罪」のより適切な対比表現
【15】 キリスト教における「堕落性と罪」の概念
【16】 「原罪」ついての二つの捉え方
【17】 人類始祖の犯罪行為としての「原罪」概念の問題点
【18】 「神の血統」の真の意味
【19】 「淫行関係」と「血縁関係」の概念の混乱
【20】 「罪の遺伝(転嫁)」とは?
【21】 「法廷論的贖罪観」の論理的問題点
【22】 もう一つの救済観─「生物学的血統転換論」の問題点
【23】 統一教会に混在する「二つの救済観」
【24】 『御言』にみる「正しい血統的転換論」
【25】 「心の遺伝」
【26】 「救済論」における「義認」と「聖化」
【27】 統一教会の救済論の重点は、「義認」より「聖化」
【28】 「義認と聖化」は“同時的”に実現
【29】 「罪と堕落性」「義認と聖化」からみた「イスラエル(選民圏)の変遷」
【30】 統一教会の本来の目的は「聖化」の完成
【31】 「第三イスラエル」としての統一教会と「第四イスラエル」時代の到来
あとがき