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HOME > 救済論の問題点 目次 >【8】 「罪」と「堕落性」の関係
第2章 統一教会の救済観の問題点

【8】 「罪」と「堕落性」の関係

 ここで、「救い」において、“実存と法廷論的評価を分離する”といった考え方が、どのようにして起きているのかを検討してみることにいたしましょう。

  一般的に、キリスト教神学の「救い(救拯論)」には、二つの大きな要素があると考えられています。一つは「義認」であり、もう一つは「聖化」です。

  実はこの「救い」についての、この二つの要素(側面)が、そのまま「罪」「堕落性」の問題ともつながっているのです。 そこで、「救済論」の全体的内容を検討するために、「罪」と「堕落性」の関係について、少し整理してみたいと思います。

 

  一般的に、「罪」という概念は、その人の“行為”や“状態”を「罪」と定める(評価する)“「法」との関係”の中で成り立つ、「関係概念(価値)」であるとされています。これに対し、「堕落性」という概念は、その人自体の中に存在する“罪を犯す性質”という意味で、「存在概念」であるとされています。

  確かに「罪」と「堕落性」の関係は、「関係(価値)」と「存在」という関係としてみることはできますが、しかしこの比較の仕方には、いくつかの問題点があります。

【お断り】
  ■ 「罪と堕落性」と「原罪と堕落性本性」
「原罪と罪」と「堕落性本性と堕落性」とでは概念が異なりますので、従って「原罪と堕落性本性」「罪と堕落性」とでは、前者がより本質的原因的な概念であり、後者はそこから生ずるより結果的な概念であるという点で、意味は異なっていますが、「両者の対比」という点では“同じ概念”とみることができるので、本書においては、より“普遍的な概念の比較”という意味で、後者の「罪と堕落性」という表現を主に使わせていただきました。(但し、『原理講論』では、両方がミックスされたような「罪と堕落性本性」という表記で述べられています。)

 

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救済論の問題点 目次
はじめに
第1章 統一教会における教典問題
【1】統一教会の「教理」と『原理講論』
【2】『原理講論』の“教典的位置”としての問題点
【3】『統一神学』の問題点
【4】『統一思想』の問題点
【5】「統一教会の教理」に関するその他の「解説書」
【6】文先生の『御言』の中にある「最終的真理」
 
第2章 統一教会の救済観の問題点
【1】「霊肉共の救い」を主張した統一教会
【2】統一教会の主流的救済観─「法廷論的贖罪観」の問題点
【3】「法廷論的贖罪観」が強調されるようになった経緯
【4】「法廷論的贖罪観」の強調は、“反対牧師対策”がその背景。
【5】「法廷論的贖罪観」の問題点。
【6】統一教会内にあった「二つの見解」
【7】「実存と法廷的評価」の分離は「キリスト教型の救済観」
【8】「罪」と「堕落性」の関係
【9】「罪と堕落性」という“対比の仕方”の問題点
【10】「堕落性本性」の内容と「罪」との関係
【11】「性質としての罪」の概念
 
【12】「堕落性」という言葉
【13】 「思い」や「性質」は“罪ではない”と主張する統一教会
【14】 「堕落性と罪」のより適切な対比表現
【15】 キリスト教における「堕落性と罪」の概念
【16】 「原罪」ついての二つの捉え方
【17】 人類始祖の犯罪行為としての「原罪」概念の問題点
【18】 「神の血統」の真の意味
【19】 「淫行関係」と「血縁関係」の概念の混乱
【20】 「罪の遺伝(転嫁)」とは?
【21】 「法廷論的贖罪観」の論理的問題点
【22】 もう一つの救済観─「生物学的血統転換論」の問題点
【23】 統一教会に混在する「二つの救済観」
【24】 『御言』にみる「正しい血統的転換論」
【25】 「心の遺伝」
【26】 「救済論」における「義認」と「聖化」
【27】 統一教会の救済論の重点は、「義認」より「聖化」
【28】 「義認と聖化」は“同時的”に実現
【29】 「罪と堕落性」「義認と聖化」からみた「イスラエル(選民圏)の変遷」
【30】 統一教会の本来の目的は「聖化」の完成
【31】 「第三イスラエル」としての統一教会と「第四イスラエル」時代の到来
あとがき