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HOME > 救済論の問題点 目次 > 【2】 統一教会の主流的救済観─「法廷論的贖罪観」の問題点
第2章 統一教会の救済観の問題点

【2】 統一教会の主流的救済観─「法廷論的贖罪観」の問題点

 さて、前章で述べたように、「統一教会の教え(教理)とは何か」ということ自体、余りにも多くの要素が混在し、はっきりと確定することは決して容易なことではないのですが、とりあえず、統一教会内で“主流的”“正統的”と見られている「統一教会の救済観」を取り上げながら、検討してみたいと思います。

 結論から言えば、現在の統一教会の主張する「救い」の理解には、様々な観点や要素が混在しているのですが、その中でも特に「法廷論的贖罪観」と呼ばれている、ある神学的思考が大きな影響を与えていると考えることができます。

 

 それでは「法廷論的贖罪観」とは何であり、そこには如何なる“問題点”が存在しているのでしょうか。

 「法廷論的贖罪観」というのは、元統一教会の本部教育部にいたH氏が、ある“いきさつ”があって、一時、この考え方を強く支持し、積極的に修練会などで統一教会員に推奨した神学的見解であります。もちろんこれは、H氏がかってに生み出したオリジナルな考え方というのでは決してなく、キリスト教神学においては、ごく一般的に用いられている考え方であります。

 

 では、その「いきさつ」とはどのようなものだったのか、H氏の証言に基づきながら、少し詳しく見ていきたいと思います。

 

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救済論の問題点 目次
はじめに
第1章 統一教会における教典問題
【1】統一教会の「教理」と『原理講論』
【2】『原理講論』の“教典的位置”としての問題点
【3】『統一神学』の問題点
【4】『統一思想』の問題点
【5】「統一教会の教理」に関するその他の「解説書」
【6】文先生の『御言』の中にある「最終的真理」
 
第2章 統一教会の救済観の問題点
【1】「霊肉共の救い」を主張した統一教会
【2】統一教会の主流的救済観─「法廷論的贖罪観」の問題点
【3】「法廷論的贖罪観」が強調されるようになった経緯
【4】「法廷論的贖罪観」の強調は、“反対牧師対策”がその背景。
【5】「法廷論的贖罪観」の問題点。
【6】統一教会内にあった「二つの見解」
【7】「実存と法廷的評価」の分離は「キリスト教型の救済観」
【8】「罪」と「堕落性」の関係
【9】「罪と堕落性」という“対比の仕方”の問題点
【10】「堕落性本性」の内容と「罪」との関係
【11】「性質としての罪」の概念
 
【12】「堕落性」という言葉
【13】 「思い」や「性質」は“罪ではない”と主張する統一教会
【14】 「堕落性と罪」のより適切な対比表現
【15】 キリスト教における「堕落性と罪」の概念
【16】 「原罪」ついての二つの捉え方
【17】 人類始祖の犯罪行為としての「原罪」概念の問題点
【18】 「神の血統」の真の意味
【19】 「淫行関係」と「血縁関係」の概念の混乱
【20】 「罪の遺伝(転嫁)」とは?
【21】 「法廷論的贖罪観」の論理的問題点
【22】 もう一つの救済観─「生物学的血統転換論」の問題点
【23】 統一教会に混在する「二つの救済観」
【24】 『御言』にみる「正しい血統的転換論」
【25】 「心の遺伝」
【26】 「救済論」における「義認」と「聖化」
【27】 統一教会の救済論の重点は、「義認」より「聖化」
【28】 「義認と聖化」は“同時的”に実現
【29】 「罪と堕落性」「義認と聖化」からみた「イスラエル(選民圏)の変遷」
【30】 統一教会の本来の目的は「聖化」の完成
【31】 「第三イスラエル」としての統一教会と「第四イスラエル」時代の到来
あとがき