HOME > 救済論の問題点 目次 > 【2】 統一教会の主流的救済観─「法廷論的贖罪観」の問題点
さて、前章で述べたように、「統一教会の教え(教理)とは何か」ということ自体、余りにも多くの要素が混在し、はっきりと確定することは決して容易なことではないのですが、とりあえず、統一教会内で“主流的”“正統的”と見られている「統一教会の救済観」を取り上げながら、検討してみたいと思います。
結論から言えば、現在の統一教会の主張する「救い」の理解には、様々な観点や要素が混在しているのですが、その中でも特に「法廷論的贖罪観」と呼ばれている、ある神学的思考が大きな影響を与えていると考えることができます。
それでは「法廷論的贖罪観」とは何であり、そこには如何なる“問題点”が存在しているのでしょうか。
「法廷論的贖罪観」というのは、元統一教会の本部教育部にいたH氏が、ある“いきさつ”があって、一時、この考え方を強く支持し、積極的に修練会などで統一教会員に推奨した神学的見解であります。もちろんこれは、H氏がかってに生み出したオリジナルな考え方というのでは決してなく、キリスト教神学においては、ごく一般的に用いられている考え方であります。
では、その「いきさつ」とはどのようなものだったのか、H氏の証言に基づきながら、少し詳しく見ていきたいと思います。