「献金」の原理的な意味はどのようなものだったでしょうか? 献金は、そもそも旧約時代の万物献祭の条件が、現在の「お金」を捧げるという形態に変化したものです。歴史上最も古くは、アダム家庭におけるカインとアベルの2人の兄弟が、信仰基台を立てるために、地の産物と羊を献祭物としたのが始まりでした。そして、旧約時代の第一イスラエル選民であるユダヤ教では、アブラハムが牝牛、羊とヤギ、山鳩と家鳩を燔祭として祭壇に供え、割いて血を流すことをもって信仰基台を立てようとしたのが始まりでした。
人類始祖、アダムとエバが堕落したために、堕落人間は、堕落していない万物以下の位置まで落ちてしまいました。そこで、堕落人間が神の愛の懐に帰っていこうとすると、直接的に神の前に出ることができないため、まず最初の摂理として、万物を自分の上に立てながら、自分自身の心の中に住む自己中心的なサタンの情を分立しなければなりません。献金は、万物を通じて自分自身の心の中のサタン分立を行うことがその目的なのです。
統一教会においても、自分自身が旧約的万物分立としての「献金」を通して、内的なサタン分立の基準を立てることができたならば、次に、新約的な分立条件を立てていかなければ、成約時代にメシヤを迎えることができません。万物分立基準は、献金の金額ではなく、万物に対する執着心を取り、自己中心的なサタンの動機を分立することにその目的があります。従って、多額な献金だけを要求し、巨大な建造物を建てたり、会社や工場を作りビジネス基盤を拡大することは、堕落人間の救済という原理的観点からは何の意味もないことです。それは救済の本質的な目的とは全く異なるのです。
また、原罪や遺伝罪、連帯罪や自犯罪など全ての罪の清算は、お金で片付けることはできません。もちろん、天国をお金で買うこともできません。(第34・35条) 統一教会の指導者たちの誤った原理観により、延々と続けられる過剰な献金要請を、早急に止めなければなりません。
このままでは信徒たちや祝福二世の将来が、信仰を維持することも希望を描くこともできない暗黒の人生へと陥れられてしまいます。又、献金の誤った集め方や使い方を改めなければ、神の摂理が崩壊してしまいます。神様は不正を働いて集めたお金を受取られることは絶対にありません。献金の原理的な意味をはっきりと理解して、正しい献金の在り方を考えるべきです。(第36・37・38条)
もしも正しく、旧約的な万物献祭を勝利することができたならば、次は自分自身が直接神の前に立って自分の心を分立しなければなりません。これは新約的サタン分立基準として越えなければならない、より高次元の蕩減条件で、クリスチャンが神やイエス様のためにと、自分の命を裂くことも恐れない殉教の精神として現わしてきました。
歴史上、新約時代の信仰基準を最初に立てた人はイエス様でした。それが十字架上で示された信仰基準で、神のために自分の命を捨てて逝かれた絶対的自己犠牲の姿だったのです。
もちろん、死ぬことが目的ではありませんでした。ユダヤ教が失敗したために、イエス様に残された道は、自分の命を犠牲にしても神に対する信仰基台を守りきり、旧約基準以上のサタン分立を成し遂げ、新たに、第2イスラエル選民圏である新約時代を出発させることでした。そして十字架からの復活というイエス様の信仰の勝利によって、新約時代の門が開けられたのです。
統一教会においての新約的分立は「献身」でした。そして、成約的分立は、神に結婚相手を委ね(マッチング)、家庭を神の前に献祭した「祝福家庭」だったのです。(【図6】参照)(このことに関する原理的な詳しい説明は「原理本論」に譲ることとして、ここでは省略させて頂きます。)
ところで、再臨のメシヤの最も重要な使命とは何でしょうか? 原理講論には、第4章第1節にメシヤが降臨される目的は、「堕落人間を完全に救うこと」と記されています。
「完全に救う」とは、創造目的である三大祝福を完成させた、天国人として、神の心情を体恤し、神と完全に一体となった真の愛の人格を完成させることです。神と一体不可分の生活をするようになった人が天国に住むことのできる「完全に救われた人」と説明されています。
本書、第3章でも既に説明しましたが、メシヤによって完全に救われた人々の住む天国は、神の愛を体恤した人格基準によって創られますから、再臨のメシヤが地上に来られた目的である天国建設も、その本質は同じです。そして、救済された個人が出現することによって、そのような人々が集まり、家庭を築き、氏族から民族、国家、世界へと神の愛の心情世界が拡大されて、神の創造目的が成就されるのです。
もちろん、天国は内的な愛の世界が拡大されるだけではなく、外的な環境も心の世界に合わせて整備され、衣食住に不足のない世界となり、美しく芸術的な姿として創造されていくことでしょう。本質的な内的な心の在り方と、外的な環境の整備が一つに調和して、天国は地上に完成するのです。(第99条) 献金だけでは、天国は永遠に出来ません。
再臨のメシヤが降臨した目的は、堕落人間の心の完全な救済であり、真の神の愛を教え体恤させることを通した真の人格完成と、真の家庭を完成させるためです。これが天国創建の公式なのです。