立浪一門の連合げいこに参加した白鵬＝東京・江東区の伊勢ケ浜部屋
「大相撲秋場所」（１２日初日、両国国技館）
横綱白鵬（２５）＝宮城野＝が２日、鎮魂の「呼び戻し」を披露した。東京・江東区の伊勢ケ浜部屋で行われた立浪一門の連合げいこに参加。新十両宝富士（伊勢ケ浜）との申し合いで、元横綱初代若乃花の花田勝治氏が得意とした大技を繰り出し、偉大な大横綱との“別れ”を惜しんだ。
「土俵の鬼」をほうふつとさせた。右四つから左上手で揺さぶり、右下手の腕（かいな）をグイッと返すと、宝富士をはじき飛ばすように裏返した。呼び戻しは初代若乃花の映像を見て、何度も練習を重ねてきた『幻の大技』。狙い通りに決まり、「どう見ても仏壇返し（呼び戻しの別称）だったでしょ」と感慨深げに話した。
実は花田氏との出会いは約２０年前になる。「５、６歳の時に（花田氏が）モンゴルに来て、初めて日本のおかしを食べたいい思い出があります」。最後に会ったのは３年前の横綱昇進披露パーティーで「お菓子をいただいた話をしたら、『覚えてる』って言ってくれました」と懐かしんだ。
「優しくて、土俵の上では鬼。粋（いき）がありますよね。自分もそうありたい」と“２代目土俵の鬼”を宣言。この日は１５番取って１０勝５敗と本調子には程遠いが「（呼び戻しが）本場所でもとっさに出ればいいですね」。天国の先輩横綱に、手向け星を贈ることを誓った。
(２０１０年９月２日)