来日初完封勝利を飾ったネルソン(中)は、谷繁(右)の手荒い祝福キックにも笑顔を見せる(撮影・吉澤敬太)
「中日6‐0広島」(2日、ナゴド)
ビッグな男が超ド級の大仕事をやってのけた。204センチ。球界最長身右腕・中日のネルソンが、9回4安打、無失点の来日初完封。最速152キロ直球を武器に8奪三振。祝福のキックを無数に浴びた落合竜の“ゆるキャラ”が、3勝目に彩りを添えた。
来日時は、速球だけが売りだった。3年の歳月を経て、成長と進化を続ける上で不可欠な技術を身につけた。常にセットポジション。時にクイックモーションを織り交ぜるなど、球種とダブルのスピード差を付けるテクニックで広島打線を牛耳った。
「これほど必死に投げてるピッチャーがいるか?自分の生活かけてるのが何人いる?ウチに一番求められてるのは、あの姿じゃないか」。教えを請い、守り、貫く。ほとばしる魂を1球に込め、無心で腕を振る姿勢を落合監督はほめちぎった。
夢がある。故郷・ドミニカに一軒家を建てる。ヤンキース在籍時、偽装結婚が発覚し、米国を永久追放された。「トニ(ブランコ)が去年建てたような豪邸じゃなくてもいいから、自分の家を持ちたいんだ」。お金を稼ぎ、野球を続けるには日本しかない。体を突き動かす材料には十分だ。
さぁ、0・5差で迎える巨人との直接対決。勢いと流れは、火を見るより明らか。真弓阪神への挑戦権をかけた3連戦。勝率7割を超える地の利を生かし、コイに続いて、Gもひとのみだ。
(2010年9月2日)