白鵬の涙で秋場所相撲中継再開
横綱白鵬(25=宮城野)が、NHKを動かした。大相撲秋場所(9月12日初日、東京・両国国技館)のNHK生中継を再開すると、同局が2日に発表した。7月の名古屋場所は野球賭博など不祥事が相次ぎ、初めて中継が中止となっていたが、日本相撲協会の暴力団排除への取り組みが評価された。会見したNHKの福地茂雄会長(76)は、白鵬のひたむきな姿勢に心を動かされたと明かした。
横綱の誠実な姿勢は、公共放送にも影響を与えていた。福地会長は言った。「先場所の白鵬の取組を見ると、ひたむきに、何とかしないといけない、勝つだけではなく、何とか相撲協会を引っ張っていこうという情熱を感じた。何とか報いてやりたい気持ちが、ないといったら、ウソになります」。横綱の土俵が、中継再開の一助になっていた。
記者会見は、午後3時開始。福地会長は30分前に役員を集めて、中継再開を決定し、2時50分ごろに日本相撲協会に連絡を入れた。白鵬は決定を受けて「相撲を愛する国民のみなさまとともに、NHKの大相撲中継決定を心から喜んでいます」との談話を発表した。
当然、白鵬の奮闘だけでなく、協会の取り組みが評価された上での、中継再開だ。8月30日に「暴力団排除宣言」をして、反社会的勢力との関係断絶を約束。同日中に、放駒理事長(元大関魁傑)と村山副理事長が、NHKへあいさつに出向いた。1日には、暴力団等排除対策委員会が1回目の会合を持った。
福地会長は「一連の取り組みは、反社会的勢力との関係を断ち切る、相撲協会の決意と改革への具体的な道筋を示したものと受け止めている。視聴者の方から、一定の理解を得られると思う」と説明。暴力団排除への働きかけに加え、名古屋で3場所連続の全勝優勝を果たした白鵬の奮闘が、この日の決定を後押しした。
名古屋場所千秋楽で、白鵬は涙を流しながら優勝旗を受け取った。福地会長は「ひたむきに記録を更新し、ひたむきに相撲を取っていた。自分が先頭に立ってやるという責任感がにじみ出ていた」と振り返った。8月まで横綱審議委員会の委員を務めていた同会長は、横綱からにじみ出るひたむきさに心を動かされていた。
相撲協会は、秋場所では優勝賜杯など外部表彰を辞退せずに、正常開催する方針を固めている。広告や懸賞を取りやめていた社も、その多くが再開する。協会の看板を背負う横綱は、心に響く相撲で、土俵外の仕事までやってのけた。【佐々木一郎】
[2010年9月3日8時40分 紙面から]
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