貴乃花親方「育ての鬼」になる！亡き伯父に誓った

「貴乃花派」４部屋の連合げいこを見つめる（左から）貴乃花、常盤山、大嶽、間垣、阿武松、錣山の親方衆

　貴乃花親方が亡き土俵の鬼に部屋初の関取誕生を誓った。１日に腎細胞がんで亡くなった元横綱・初代若乃花の花田勝治さん（享年８２歳）の悲報から一夜明けた２日、東京・墨田区の間垣部屋で貴乃花派が連合げいこを行った。甥の貴乃花親方は、関取１９人を育成した土俵の鬼に近づくよう今以上に弟子の育成に努力することを約束。午後には花田さんの都内の自宅を弔問し、師匠として「土俵の鬼」の魂継承へ決意を新たにした。

　土俵の鬼への何よりの供養だろう。悲報から一夜明けた午前６時３０分。貴乃花親方は、間垣部屋のけいこ場に姿を見せた。夏場所前に続く２度目の貴乃花派の連合げいこ。序ノ口から関取まで５０人を超える力士を、厳しく、ときには穏やかに指導した。

　「上からいいけいこをしているなと思っていただきたいと思ってけいこを見ていました」。現役時代はもちろん、師匠として一切の妥協を許さない厳しい姿勢で土俵に向き合ってきた亡き伯父。鬼の遺志を継承すべく午前１１時までの４時間３０分にわたり、激しいけいこで力士を指導した。

　午後には杉並区内の自宅を景子夫人とともに弔問した。悲しみの対面にも「りりしさがあって横綱・若乃花という感じでした」と合掌した。伯父の遺体を前に改めて決意したのは弟子の育成だ。「関取１９人を育てたのは並大抵の努力ではできない。力士としての功績以上に見習うべきで私も育成に努めていきます」。０４年２月に開いた貴乃花部屋は花田さんが興した二子山部屋が源流だが７年目の今も関取を輩出していない。２横綱、２大関ら１９人もの関取を育成した土俵の鬼に師匠として少しでも近づくことを誓った。

　弟子の育成と同時に秋場所からは審判部長の重責を担う。伯父は理事長時代に罰金制度など立ち合いの待ったに厳しいメスを入れた。「私は力士のあうんの呼吸を大切にしたい。力士が呼吸を合わせるようにサポートしたい」と協会の理事としても伯父が追求した立ち合いの美しさを受け継ぐことを明かした。

　師匠として理事として花田さんの魂を継承する。「猛げいこを見習って引き継いでいきたい」。一日も早く関取を輩出し天国の鬼に報告する。