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押尾被告裁判 検察側冒頭陳述 性行為の後に異変が…
【経歴】
被告は1998年ごろから芸能活動を始め、2006年に結婚。事件当時は六本木ヒルズを中心に生活していた。田中香織さんはクラブホステスとして働き、08年ごろから友人女性と都内マンションで同居していた。
【犯行前の経緯】
被告は以前からMDMAを服用した性行為をしていた。08年11月、田中さんと知り合い、その後肉体関係に。被告は別の相手が気絶し、自分も倒れ、呼吸困難などの状況を体験。09年7月、田中さんが知人に、薬物をのまされて性行為をしているという趣旨の告白をしている。同月に被告は渡米し、別の合成麻薬約50個を購入、事務所社員に日本に持ち帰らせた。
【犯行状況】
7月30日、知人にMDMAの入手を依頼、翌31日に約10錠譲り受けた。
8月2日午後、被告は「来たらすぐいる?」と、MDMAを服用するかとの趣旨のメールを田中さんに送信し、「いるっ」と返信があった。田中さんが六本木ヒルズの部屋に着き、被告がMDMAを譲り渡した。休憩しながら性行為をした。
5時50分ごろから、田中さんに意味不明な言葉を発したり、拳を握り締めた両腕を上下に動かかしたりする急性MDMA中毒の症状が現れた。6時ごろ、両目を大きく見開き、黒目を左右にギョロギョロ動かして白目をむき出しにしたり、のどの奥から「うーっ」とうなり声を上げたりするなど、さらに悪化した。
6時ごろまでに119番通報すれば、遅くとも6時22分ごろまでに医師による専門治療により、救命することができた。
6時32分以降、被告は知人らに「女性の具合が悪い」「女性が倒れた」などと電話やメールをした。47〜53分は心臓マッサージや人工呼吸をしたが、通報はせず、田中さんは死亡。被告は7時半ごろまで、マネジャーらに「死んじゃっているみたい」などと相次ぎ電話した。
【隠滅】
7時45分ごろから知人らが到着し、被告は部屋にいなかったことにすることなどを相談した。9時19分に知人が119番通報し、被告は救急隊が到着する前に別の部屋へ。体内からMDMAを抜く薬の手配などを知人に依頼。3日、警察に出頭し逮捕された。
【まとめ】
田中さんが服用したMDMAは被告が譲り渡したもの。被告は、過去の体験から、田中さんの症状がMDMA中毒であることを認識していた。当時、正常な判断力・行動力がある者は被告だけで、午後5時50分〜6時の間、田中さんの生命・身体の安全を保護する責任が生じたのに、心臓マッサージなどをしただけで、MDMA使用発覚を恐れて通報しなかったのは不保護に当たる。通報していれば救命できた。
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