警官が　遅刻しそうと自転車ドロ

　出勤途中に自転車を盗んだとして、神奈川県警は２日、窃盗容疑で高津署地域課の男性巡査長（２５）＝川崎市幸区＝を書類送検するとともに減給１０分の１（６カ月）の処分とした。巡査長は容疑を認め、同日付で自主退職した。

　送検容疑は８月３日午前７時半ごろ、幸区のレンタルビデオ店駐輪場に無施錠で止めてあった同店の女性アルバイト店員（２３）の自転車（時価約３０００円）を盗んだ疑い。

　巡査長は、同日午前１０時までが返却期限だったビデオを返すため、自宅から出勤途中、徒歩で同店に立ち寄った。その後、出勤時間に遅れそうになったため、盗んだ自転車で約２キロ離れた最寄りのＪＲ南武線鹿島田駅に急行。駅前の路上に自転車を放置し、電車に乗った。

　盗難に気付いた女性店員が店の防犯カメラで確認すると、自転車に乗る巡査長の様子が写っていた。店長が会員登録時の身分証明用写真と照合し、巡査長の自宅に電話連絡すると「警備会社に勤めているので被害届は出さないでほしい。あした返しますから…」などの返事があったが、店側は不審に思って交番に届け出て事件が発覚。同店では「（巡査長は）常連というほど頻繁には来ていなかった。ＤＶＤを２、３枚借りていたが、延滞ではなかった」と話していた。

　巡査長は高津署の地域課に勤務し、主に自転車盗難の取り締まりを担当。「仕事に遅刻しそうになったので自転車を盗んでしまった」と供述している。ＤＶＤだけでなく出勤時間にも遅れなかったが、後悔しているはずだ。

[ 2010年09月03日 ]