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菌検出は昨夏、多剤耐性と疑わず 帝京大で感染拡大(1/2ページ)

2010年9月4日1時13分

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図:  拡大  

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 複数の抗生剤の効かない細菌アシネトバクターによる院内感染の疑いで、わずか1年で少なくとも患者9人が死亡した。帝京大学病院は5月に異変に気づいて内部調査を始めながら、9月まで外部に報告、公表を一切しなかった。3日の会見でその理由は明確にされず、どこからどのように感染が広がったのかもよくわからない。対応が遅れる間に被害はじわじわ広がった。

 「命を守る病院でこのようなことをして申し訳ない」

 会見冒頭、森田茂穂帝京大病院長らはコメントを読み上げると、深々と頭を下げた。

 国や東京都などへの報告や対応が遅いのではないかと問われると、森田院長は「現時点では、公表すべきだったと思う」と述べた。

 病院や都によると、病院が調査と対策に乗り出したのは、今年4〜5月に約10人の患者から多剤耐性菌が見つかったことがきっかけだった。その調査で2009年8月に第1号の感染者が出ていた可能性が分かった。

 10月には、耐性菌との因果関係が否定できない最初の死亡者が出ていた。主治医はこの時点で、抗生剤が効きにくかったことを把握しながら、院内感染対策にあたる感染制御部に報告しなかったという。最初の死亡例では、菌の感受性の検査で「多剤耐性」という結果が出た。しかし、主治医はある抗生剤が効いたため、多剤耐性とは認識しなかったという。

 報告がなかったことについて、森田院長は「情報伝達が共有されていないという重大な側面です」と対応の誤りを認めた。

 病院では、この多剤耐性菌が見つかった場合は、感染制御部に報告する決まりがある。

 都などへの報告や公表が遅れた理由を複数回、問われても、院長らは「申し訳ない」「不備があったと認めざるを得ません」と繰り返すだけだった。一方で「当時、患者さんに百%治療にあたることを念頭においていたため」とも述べた。

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