富山のニュース 【9月3日03時19分更新】

胡弓の音色追いかけ 愛知の大学生、おわら卒業研究 

町流しで演奏する地方に見入る片山さん=富山市八尾町西町
 富山市八尾町で開催中の「越中八尾おわら風の盆」で、金城学院大4年(愛知県)の片 山詩音さん(22)が、胡弓(こきゅう)の役割や由来を卒業研究とするため、各町で哀 愁の音色を奏でる地方(じかた)を追いかけている。中学生のころからおわらに興味を持 ち、今年初めて念願の風の盆を訪れた。4日まで滞在し、文献を調べたり、各町の地方の 演奏の違いを鑑賞したりして研究を深める。

 片山さんは、祖父の影響で幼いころから歌舞伎に興味を持ち、三味線などの古典楽器に もなじみがあった。中学2年のとき、日本の祭りに関する本を見ておわらを知り、哀愁の 調べを奏でる胡弓にも関心を抱いた。高校時代は「風の盆」へのあこがれから、写真集を 買ったり、胡弓のCDを聴いたりした。

 大学進学後、さらにおわらや胡弓に没頭し、おわらを卒業研究で調べると決めた。連絡 を取った越中八尾観光協会から、越中八尾観光会館で行われる「風の盆ステージ」の見学 を勧められ、今年3月に八尾を訪問。ステージ出演者の紹介で上新町の胡弓奏者谷井俊彦 さん(65)に出会った。片山さんの熱意に感動した谷井さんは、胡弓に詳しい住民を紹 介し、風の盆期間中のホームステイも申し出た。

 片山さんは「八尾の人たちの親切さに触れ、どんどんおわらにのめり込んでいる」と笑 顔を見せる。

 卒業論文では、楽器が生まれた由来や各地にいる奏者、楽器の使われ方などについてま とめる。風の盆終了後もできる限り八尾に足を運ぶつもりだ。片山さんは「大学院に進ん でより専門的に胡弓について調査したい」と意気込んでいる。


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