第4回 岩木山麓の野生生物の楽園
At the base of Iwaki-san ― a splendid volcanic mountain, golf courses and apple orchards have begun chasing out the migratory birds and spotted frogs much as the tourists have chased the souls from Osore-zan. What small refuge the animals enjoy today, they owe to a middle-aged security firm manager Yukyu Kikuchi and his wife, Nobuku. 【TIME, August 19-26, 2002】
「much as S+V」は「SがVするのと大体同じように」という意味と「Sは非常にVするけれども」という意味の2つのケースがあります。本文は前者で「観光客が恐山から霊魂を追い払ったのと大体同じように」という意味です。
whatが形容詞で、後の名詞を修飾するときは「疑問形容詞・感嘆形容詞・関係形容詞」の3つのケースがあります。このうち関係形容詞のwhatは「what+名詞 (S)+V」で「(Sが)Vする全ての名詞」という意味を表わします。たとえば、what friends you haveなら「君が持っている全ての友人」という意味です。そして、「what+名詞 (S)+V」の全体は名詞として扱われる(=名詞節になる)ので、たとえば、動詞の目的語の位置に置くと、Bring what friends you have. (友達を全部連れてきなさい)のような文を作れます。
本文のWhatは関係形容詞でsmall refugeを修飾しています。What small refuge the animals enjoy todayを直訳すると「それらの生き物が現在享受している狭いながらも全ての避難場所」となります。refugeは「数えられる名詞」ですから、「refugeが何ヵ所もあって、その全て」というのであればWhat small refuges the animals enjoy todayとなるはずです。本文のrefugeが単数なのは「refugeが1個所で、その全域」という意味だからです。
What small refuge the animals enjoy todayの全体は名詞節で「S owe A to B (SはAをBに負うている)」のA(=oweの目的語)の位置に置かれています。ただし、この文は倒置して「A,S owe to B」という語順になっています。主語のtheyはthe animalsを指しています。
この文は、岩手県のキクチユキュウ・ノブク夫妻が私財を投じて岩木山麓に3000uの土地を買い、ボランティアの協力を得て、精神面・情緒面に障害をもつ子供たちが自然に触れられる小さな楽園を作ったことを報じた記事の一節です。
【全訳】 壮麗な火山である岩木山の麓では、観光客が恐山から霊魂を追い払ったように、ゴルフ場やリンゴ園が渡り鳥と斑点のある蛙を追い出し始めている。現在それらの生き物が自然なままに生息している場所が1個所ある。それは全て警備会社を経営するキクチユキュウという中年男性とその妻ノブクのおかげである。
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