中東和平直接交渉再開 イスラエル軍事作戦で家族や家を失ったガザ市民を取材しました。
およそ1年8か月ぶりに再開された中東和平の直接交渉。一方で、イスラエルの軍事作戦で、家族や家を失ったガザ市民は、今、何を思い、どのように暮らしているのでしょうか。
大塚隆広記者が現地を取材しました。
2008年12月から2009年1月にかけて、イスラエルはイスラム原理主義組織「ハマス」を掃討するため、ガザ地区を攻撃した。
この軍事作戦は、激しい市街戦にまで発展し、民間人を含む1,400人以上が死亡した。
当時、ラジオ局のプロデューサーをしていたカマル・アワージャさん(50)は、戦闘で9歳の息子を失った。
カマルさんは「子どもを殺されるのは本当につらい。言葉にできないくらいつらい」と語った。
戦闘で街は破壊され、カマルさん一家など500世帯以上が、今もテント暮らしを強いられている。
カマルさんは「平和に暮らせる権利がほしい。家を返してほしい。元の生活に戻りたい。それだけです」と語った。
ガザ市内で250以上の家が立ち並んでいた場所も、今は空爆によってすべて破壊され、荒れ地となっている。
イスラエルの経済封鎖により、建築資材が不足し、街の復興は遅れている。
一方で、2010年6月に経済封鎖が一部緩和され、食品や生活用品は市場に多く並ぶようになった。
こうした状況について、ハマスのアフマド・ユーセフ幹部は「イスラエルの経済封鎖を緩和したのは、プロパガンダのためだ。今一番必要な建築資材が入ってこない」と、イスラエル政府を批判している。
ようやく再開された和平交渉。
家族や家を奪われたガザ市民は、複雑な思いでその行方を見守っている。
(09/03 13:10)