中東和平交渉再開 パレスチナの地に横たわる根深い問題を現地取材しました。
中東和平に向けたイスラエルとパレスチナの直接交渉が日本時間2日夜、再開されました。
1年8カ月の中断、そして難航必至の再開交渉、パレスチナの地に横たわる根深い問題を現地取材しました。
アメリカ・ワシントンで続く和平交渉の一方、パレスチナ自治区では、何が起こっているのか。
パレスチナ人一家が住むエルサレムのアパートのすぐ横には、現在、ユダヤ人入植者たちが住んでいる。
現在、建物は2つに分かれて見えるが、これはもともと1つの建物だった。
ヨルダン川西岸の東エルサレムに住むナジャールさんは、17人の大家族で、手狭になった家を増築しようと、8年前に隣の家を買い、1軒に改築した。
しかしその後、隣の家の元所有者が、ユダヤ人入植者とも売買契約を交わし、裁判でこのユダヤ人の居住権が認められてしまった。
ナジャールさんは「イスラエル人たちは、窓を割り、催涙弾を投げ込みました。怖くて叫んでしまった」と話した。
その結果、これ以外にも入植者は部屋を勝手に改造、天井からは水が漏れてくるという。
ナジャールさんは「誰でも平和を望むのは当たり前です。ただ、平穏な暮らしがしたいだけ」と話した。
パレスチナ人が居住し、自治政府が統治するヨルダン川西岸には、今、ユダヤ人の入植地が虫食い状に広がり、その数は130カ所にものぼるという。
パレスチナ自治政府のアッバス議長は、「イスラエル側には、入植活動の凍結を含めて、彼らの義務を履行するように要求する」と述べた。
この入植地問題こそが今、和平にとって、最も解決を優先しなければならない障害となっている。
こうした対立を背景に、和平交渉に先立つ8月31日、自治区内では、ユダヤ人入植者が銃撃を受けて、4人が死亡した。
1日にも、銃撃で2人が負傷している。
この銃撃に関しては、和平交渉に反対するイスラム原理主義組織ハマスが犯行を認めた。
FNNは、このハマスに直撃取材し、幹部が単独インタビューに応じた。
ハマスのアフマド・ユーセフ幹部は、「(イスラエルの)占領を証明するために軍事行動に訴えることもある。われわれが血を流したのと同じような方法で、(相手を)出血させることもできる。これは、占領政策に対する政治的、軍事的な戦いである」と語った。
さらに、和平交渉について、どう考えているのか聞いた。
ハマスのアフマド・ユーセフ幹部は、「これまで20年以上も話し合ってきた。進展はあっただろうか? 何もない。時間の無駄だ」と話した。
ハマスが実効支配するガザ地区では、「アメリカは不公平だ」とするデモが発生している。
アメリカのオバマ大統領は、「このような機会は、またすぐに訪れるようなものではない。このチャンスを逃してはならない」と述べた。
11月の中間選挙をにらみ、外交での得点を挙げたいオバマ大統領だが、和平交渉は再開早々から入植地問題をめぐって、その行方が不透明さを増している。
(09/03 00:47)