呉市交通局がマックスバリュ西日本(兵庫県姫路市)に営業所跡地を貸し付けた入札をめぐる贈収賄事件で、交通局が入札のルールを定めた要綱に、不正入札の場合は入札を無効とする条項があることが22日、分かった。適用すれば原則として契約を解除し、交通局が跡地を返還させることになる。ただ、市の経済や住民生活などへの影響が大きく交通局は対応を慎重に検討する。
事件は、東営業所跡地(広白石、約8300平方メートル)の貸付先を決める2008年5月の入札で、市交通局副局長だった志和康成容疑者(52)が接待を受けた見返りに、同社の元社員に入札情報を漏らし、落札させた疑いで逮捕された。
要綱は、入札を無効とする業者側についての8条項を定め、うち一つは「入札を妨害し、または談合を行いもしくは落札者に対し利益の分配、または金品を強請した者の行った入札」としている。
マックスバリュ西日本元社員の土井美彦容疑者(56)の逮捕容疑には、競売入札妨害と官製談合防止法違反容疑が含まれる。市交通局によると、仮に有罪が確定すると、条項に該当する可能性は高いという。
同社は営業所跡地に09年3月、隣接地の旧店舗を移転して広東店を新装オープンさせ、今も営業している。
市交通局は今後、条項の解釈などを弁護士と協議する。最終決定は市交通企業管理者が行うが、重大案件のため小村和年市長と協議して決めるという。
小村市長は「全体の真相解明を待って対応を決めるが、民対民の契約と同様、必ず適用する条項とは異なると考えている」とする。マックスバリュ西日本本社は「営業を継続し地域貢献することで、信頼回復に努めたい」としている。(清水大慈、加田智之)
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